昨年秋から今春にかけて、環境にたいへん配慮した

強烈な河川工事があさ川のそこかしこで行われていた。川は見事にギタギタにされた。工事の前までは佃煮にしたいほどに群れていたハヤたちが姿を消し、かわりにダンプ、ショベルカー、ブルドーザーが河原を我が物顔に走り回った。私のお気に入りのポイントは声もなく破壊されたのだった。

今年5月の時点では川はまだ死んでいるも同然だった。それから何回か大雨が降り増水が重なり、初夏の太陽が降りそそいで数週間たつと、川の端にちいさな生き物たちが戻って来た。体長1センチくらいの稚魚を草むらのかげに見つけたときは小躍りした。

そして先週、工事が始まってからじつに9ヶ月ぶりに、私の毛鉤に立派な銀バヤ(ヤマベ)がかかってくれた。あさ川が生き返った! さらに同じ日、20センチ近い本バヤ(ウグイ)までも釣れたのである。

ん? 本バヤ? 銀バヤはともかく、これまでこのへんで本バヤなんて釣れたことなかったぞ。・・・と思って調べたら、つい先日3キロほど上流で「八王子浅川子どもの水辺協議会」が地元の小学生を使いウグイをバケツ放流したんですよ、ということである。しかも他の小学校でも〈環境教育〉と銘打って同じことをやっていた

「八王子浅川子どもの水辺協議会」の構成員を見れば、早い話が国交省と愉快な仲間たちである。〈浅川に魚を増やしてきれいな川を保とうという環境保全を目的として〉とはさすがよく言ったものだ。

こっちは保育園から帰ってきた手下を連れて夕暮れのあさ川に立ちこみ、ウエットフライで本バヤを釣らせて、「おっ、よく釣れたな。それがウグイだ。本バヤともいう。あさ川の底力を見たか!」などと悦に入っていたのだから、本物のバカである。

妙な〈環境教育〉はやめましょう。それを美談として報道するのもやめましょう。

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