あのころの日本はとにかく勇ましかったですよ。しかも日本国民の九割は馬鹿でした。話して分かる普通の頭は一割か二割。それは軍隊でよーく分かりました。話そうが何しようが、分からないのが、勇ましさと結びついて、やたらにビンタをするわけです。
確かに勇ましいのは気持ちがいいです。「大和魂」だとか何とか言ってね。でもね、兵隊に行って勇ましくしてると結局死なにゃならん。戦争もその勇ましさが引き起こしたんですよ。
「八紘一宇」だの言って勇ましくして、「天皇陛下万歳」と言って勇ましくして、当時の人は戦争というものを簡単に考えていた。戦後、日本は対外的にもペコペコ国になったけれども、ビンタ嫌いの水木さんはそれでいいのだと思いますよ。勇ましさのためにどんな目にあうのか、水木さんは知ってますからね。
〈「人生をいじくり回してはいけない」水木しげる|ちくま文庫 106頁〉
話そうが何しようが、分からないのが、勇ましさと結びついて、やたらに強行採決しようとする。でも強行じゃない採決って、人道的な死刑とか、平和のための戦争の準備、魚にやさしい釣りみたいなものだ。
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