2016年4月7日、環境省「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」が公表された。
平成25年2月に作成された第4次レッドリストでは、汽水・淡水魚類のうち42%が希少種に選定されました。この割合は、哺乳類、鳥類等全分類群の中で最も高く、その多くが二次的自然を主な生息環境とする淡水魚であるため、優先的に対応する必要があります。
このため、環境省では、平成26年度に有識者からなる「淡水魚保全のための検討会」を設置し、同検討会から「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」を得ることとし、検討を続けてきました。
その結果、二次的自然を主な生息環境とする淡水魚が生息する豊かな環境を保全・再生するため、関係主体がそれぞれ可能な取組を考えて自ら実施することを促すとともに、連携して地域における自主的な保全活動を促進し、現在生息する種及び地域個体群の絶滅を防ぐことを目的とした、「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」がとりまとめられましたので、公表します。
長い文章ではない。ぜひリンク先で「淡水魚保全のための提言(本文)」全文を読んでほしい。
2.二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のために望まれる取組
(1)淡水魚の生息環境の保全・再生
1)生息環境の連続性の回復
2)生息環境(河川、湖沼、水田・水路、ため池、湧水地)の保全、再生
3)外来種、放流、密漁対策の推進(2)合意形成の促進や情報共有のための場・体制の構築
1)合意形成と目標設定淡水魚の保全活動を行う
2)関係主体間の連携と情報共有
3)関係行政機関の連携と情報共有(3)淡水魚保全に関する調査・研究の推進
お題目はたいへん立派だが、いざ施策となると、ベクトルも力加減も恣意的に見当違いで、大いにずっこけるのが役所のデフォである。
環境省はいわば〈身内の不始末〉を今まで一度だって正面から指摘したことはない。今回の提言には、河川環境を根本的に破壊するダム建設や無駄な水圏開発の当事者である国交省と、日本の土建政治体質への批判は書かれていない。また、国が進めてきた原発政策の結果引き起こされた、福島第一原子力発電所事故による広範囲で長期間にわたる深刻な放射能汚染への反省も、当然のように書かれていない。もっとも強烈で肝心なところには触れない。
そのかわりに、「外来種、放流、密漁対策の推進」という、見えやすくて叩きやすい〈敵〉は、しっかり提示する。
「弱い相手だけ相手にする。手をつけられるところだけ手をつける。」のが環境省の基本姿勢である。そのやり口がまたぞろ発揮されないように、監視する必要がある。でなければ、真剣に議論を重ねてきただろう関係者の苦労も、投入される国民の税金も水の泡ばかりか、かえって将来の世代に申し訳ない。
役人と政治家の勝手な先導や煽動に未来を任せるとろくなことにならないことは、歴史が証明している。