「ブラックバスやブルーギルを釣った時は、備え付けのバケツに必ず投入してください。」

特定外来生物被害防止法は今から12年前の、2004年5月に成立した。施行されてすでに10年以上がすぎている。導入時のあの支離滅裂なマスヒステリーを知らない人も増えているだろう。無理が道理になって今がある。

せめて自分が関わる釣り人には、釣ったバスやブルーギルを「外来魚回収ボックス」へ投げこんで殺しなさいと誰かから命令されることに、ふと疑問を持ってもらえるような釣り人になってほしい。

そのためになにができるだろうと考える。

「再放流禁止! 密放流禁止!」
「再放流禁止! 密放流禁止!」
「ブラックバスやブルーギルを釣った時は、備え付けのバケツに必ず投入してください。」と書いてある。
「ブラックバスやブルーギルを釣った時は、備え付けのバケツに必ず投入してください。」と書いてある。
「備え付けのバケツ」
「備え付けのバケツ」。のぞいてみたがなにも入っていなかった。
同じ敷地内にある、湧き水が枯れてからっぽの池に立つ看板。この空しさが日本の外来種対策を象徴する。
「池の中の生物を取らないで下さい! 外来魚を入れないで下さい。」。同じ敷地内にある、湧き水が枯れてからっぽの池に立つ看板が叫んでいる。日本の外来種行政の本質を象徴しているかのようだ。こと外来種絡みの話題になると、日本の自然の現状を肌身で知らず、自分の頭で理解するための努力をしておらず、議論のための基本的な知識もないと思われる方が、なぜか前に出てきて政府見解に沿った浅薄な自説を滔々と語りたがるのは本当に不思議だ。親方日の丸で安心なのかな?

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉(著)|ブラックバスは、濡れ衣だ! 異色のベストセラー
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桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)
『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)