いよいよボケに拍車がかかった。

月刊『つり人』の10月号が面白い。私は残念ながらアユ釣りに突っ込んだ経験はないが、表紙のアユが釣ってうれしく、ものすごくうまそうなのは分かる。尺アユがすぐそこの秋川にもいるんだという記事を読むと、素人の私に釣れるはずもないのにじゃあとりあえず行ってみようかなあ、とミーハー気分がそそられる。

さらに、わが町日野市を流れる谷地川(きたなくて小さな川だけど)でのヤマベの毛バリ釣り、多摩川河口でのハゼ釣りなど、10月号には自分の大好きな小物釣りの記事が多くて浮き浮きした。どこかの中学校の科学部による「糸鳴り」の研究報告が4ページもの記事になっているにいたっては、これって『フライの雑誌』がやりたかったことかもしれないと、ほとんど感動した。(「釣りキチ三平」には30種類、541回の糸鳴りが表現されているんだそうだ。糸鳴りを再現させたくて中学生が糸鳴りマシーンA型、B型とか手作りしているのには泣ける)

そこで我が身を振り返ってみる。

『フライの雑誌』86号の制作には(毎度のことだけど)かなり気合いが入っていた。やっとの思いで発行してすぐ、ボーッとした状態のまま南半球に出かけた。そこでパシフィック・ターポンやら、ジャイアントになるだろうトレバリーやらを釣りまくった(まくったはウソ)ものだから、いよいよボケに拍車がかかった。

さらにふと気がつけば、渓流のシーズン終了がすぐ目の前だ。じつは、今週末と来週半ばと来週末と今月末と、立て続けに釣りの予定を押し込んである。そうだ、毛バリも巻かなくてはいけない。来月までには水口憲哉氏の新著「いままでにないサクラマス本」(仮題)の、編集の目処を付けたい。朝日書評で紹介していただいた新刊『小説家の開高さん』(渡辺裕一著)にはおかげさまで連日の注文をいただいており、その対応に追われてもいる。『フライの雑誌』86号は読者カードの戻りが当社比で通常の2倍である。

そんなわけで、なかなか落ち着いてものを考えるモードになれない。でも『フライの雑誌』次号87号の編集企画は、待ったナシの締め切りが日々刻々と迫りつつある。

こんなことではいけないナ。まずは月刊『つり人』に出ていた谷地川のポイントでハヤ釣りして気分転換しようか。糸鳴りするかな。こんなことではいけないナ。