マッサンの釣り竿

本誌第101号(2014)の「日本フライフィッシングの軌跡」の第4回「メイド・イン・ジャパンの日が昇る」、塩澤美芳さん(株式会社天龍会長)ロングインタビュー(稲垣宗彦まとめ)には、たいへんな反響がありました。こういう記事を載せられるのが『フライの雑誌』だよねという、読者からのうれしいお声もいただきました。

あれから2年、ますます意気軒昂な塩澤さんは、今年6月に北海道道南地方へ釣りに行かれた際、余市のニッカウイスキー蒸留場を見学されました。ニッカウヰスキー余市には、ニッカの創業者、竹鶴政孝さんの趣味の品を展示しているコーナーがあります。竹鶴さんは大の釣り好きだったそうで、写真といっしょに愛用の釣り道具も展示されています。

なんとそのなかに、60有余年前、天龍を起こす前にいた会社で塩澤さんが作った一本の竿が、大切に展示してあったということです。いわゆるコンビネーションロッドと呼ばれるもので、国産スポーツフィッシングギアの黎明期を象徴する存在ですが、くわしくは「メイド・イン・ジャパンの日が昇る」を読んでください。

竹鶴政孝さんって、あのマッサンですよマッサン。朝ドラで見ていた人物に自分が作った竿が使われていて、その竿と60年以上ぶりで、思いがけなく対面する気持ちとは、いったいどんなものなのでしょう。

ひと様に使ってもらって、身近にずっと残してもらう道具を作るのは、作り手としての喜びでプライドでしょう。そして、身近にずっと残しておきたいお気に入りの道具と出会うのも、使い手としてのプライドで喜びです。

塩澤さんからこの話を聞かせてもらったわたしは、塩澤さんの年若い友人で、「メイド・イン・ジャパンの日が昇る」をまとめてくれたライターの稲垣宗彦さんにさっそく連絡して、「会長やっぱりすげえ!」と言いあったのでした。

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『フライの雑誌』最新第101号記念号|第101号はカラー大増ページ&特集が3本立て
『フライの雑誌』第101号記念号|第101号はカラー大増ページ&特集が3本立て 「ただ一本の竹竿」/「わたしのベスト・フライパターン 止水・湖・海篇」/「日本フライフィッシングの軌跡」第4回「メイド・イン・ジャパンの日が昇る」/巻頭カラーグラビア「ある日の島崎憲司郎」