名古屋城(名古屋市中区)の外堀に潜む全長1メートル超の巨大肉食魚「アリゲーターガー」。在来種の生存に関わると、市や市民団体などが何度も捕獲を試みているが、空振りが続く。なかなか捕まらない背景には、名古屋城ならではの「事情」がある。
外堀でガーが最初に見つかったのは7年前。コイの群れの中をゆうゆうと泳いでいたという。これまでに2匹が確認され、今年6月には、うち1匹が全長1・3メートルほどに成長しているのが目撃された。
市は、市民団体や専門家などと協力して4年前に捕獲作戦を始めた。定置網や刺し網を仕掛けてきたが、いずれも失敗。…見かけによらぬ臆病な性格で、他の魚のようには現れる場所を絞りきれないという。
(2016年9月6日 朝日新聞)
いいかげん飽きた感じもある、十年一日のごとき、マスコミのいいかげんな記事。「在来魚の生存に関わる」の〝在来魚〟ってなに? コイではない。ではなに。教えてほしい。
> 「〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉は、ヘンだ」(『フライの雑誌』第61号)を公開します
日本魚類学会は先日、名古屋城のお膝元の名城大学で、「魚類にみる最新の外来種問題」という市民講座を開いた。外来魚を問題化したい魚類学会にとっては、こういういい加減なマスコミ記事は、市民へ問題提起するのにまたとない好機である。「名古屋城のお堀の在来魚とは何だろう。あるべきお堀の生態系とは何だろう。皆で考えましょう。」と大まじめに対応するのが専門家としてのスジで、誠実な態度だと思う。
アリゲーターガーは、恐竜時代からの原始魚類の生き残りだ。大河の下流域や湖沼を本来の棲息域とし、ダムや堰堤による繁殖環境の破壊、人間の乱獲で、近年急速に数を減らしている。アメリカでは法律で保護されている存在だという。
無秩序な放流行為への警鐘は鳴らすとして、狭い名古屋城のお堀で7年間も生き延びて暮らしているガーは、そっとしといてあげればいいんじゃないの、というのが私感。
ガーがお堀にいて誰が困るのだろう。