◯今日、水口憲哉氏の「あたらしいサクラマス本」の取材を行った。ここ数年絶滅危惧種への対応を語ることが、社会の一つのトレンドになっている。有り体に言えばブームである。
周知のように、サクラマスはダムや河川構築物などの影響で全国的にその数を激減させている。しかし水産の対象として人為的な増殖行為が続けられているが故に、絶滅危惧種には指定されていない。一方近縁のサツキマスは、国の都合で絶滅危惧種に指定されたり外されたりと忙しい。その翻弄されっぷりは風に舞うようだ。「危惧」を煽って商売に結びつけようとする自称ジャーナリスト、環境屋など諸々あさましい人々も増えてきた。
分かっているようで分からない絶滅危惧種に関する多くの疑問を整理し、問題を提起し、方向性をつけ、私たちは今後どのように行動すればいいかまでを、分かりやすく解説していただいた。これぞ水口節という覚悟と迫力に満ちた、とても貴重な内容だ。「あたらしいサクラマス本」にその全文を、『フライの雑誌』次号第87号特集記事には抄録を掲載する。
こんどの「あたらしいサクラマス本」は、名著『反生態学』(どうぶつ社刊)から『魔魚狩り』(フライの雑誌社刊)につながる反骨と義憤の系譜をしっかりと受け継いでいる。ブラックバス問題を社会現象化させた異色のベストセラー『魔魚狩り』につづく水口憲哉氏渾身の一冊だ。おりしも政権転換以降、脱ダム構想が広く話題になっている。風は吹いている。