あいかわらず釣りをしない私にはほんらいの楽しみ方はわからない、それでも見て読んでおもしろいのだから仕方がない。
フライフィッシングどころか、釣りをしない人に手にとってもらっても、おもしろい本だね、と思ってもらえることを目標に編集している、(妙な)釣りの雑誌なので、こういうご評価は最高です。
いまの編集部の気分を分かりやすくたとえれば、35ヤード先の荒瀬の尻に尺ヤマメのディンプルライズを見つけて、28番のミッジをキャスト一発でフッキングしたみたいな気分です。
前号から、そして次号につながる中村善一さんと島崎憲司郎さんの”異分野対談”の中にその理由のひとつをみつけ(そうそう♡)とおおいにうなづく。
第111号の第2特集、〈中村善一×島崎憲司郎 異分野対談|画家の視線とシマザキワールド⑴ (1万字対談)〉は、釣りをしない人にこそ読んでいただきたい筆頭企画です。これぞ『フライの雑誌』といえる記事です。
『フライの雑誌』は今どきめずらしい、ふしぎな本なんだろうと作っている編集部も思います。でも中に浸かっていると、茹でガエルみたいにそのふしぎさが時々見えなくなってくることがあります。だから分かっていただいてうれしいです。
111号掲載、四釜裕子さんの連載「川向こう(八)」は、最上川ぐねぐねの旅。早春の小川みたいに清々しい四釜さんの道案内で、ゆうゆうとした最上川の情景を楽しんでいただけます。