『釣りキチ三平』ニンフの誘惑(1981)から。ングッ。
奥山深くに水面を揺らす隠れが池が、皆既日食の暗やみに覆われると同時に、モンカゲロウがスーパーハッチを始めた。池の畔の行者湯の湯守り、橘源三郎さんが我が子のように育てたゴールデントラウトたちが、ハッチに合わせてあっちでもこっちでも、ヘット&テールでライズ、ライズ、ライズ。ウッヒョ~!
あわててキャストを始めようとする三平くんに、いつだって沈着冷静な鮎川魚紳さん(鮎川財閥の御曹司で米国の弁護士資格を持ち、全米バス釣り大会で優勝。アルコール依存症を克服して、三日月湖の愛子姉ちゃんを口説き落とす。移動手段はヘリコプター。)が、待ったをかける。フフフ。
魚紳: あわてるな・・・ マッチング・ザ・ハッチを忘れたのか・・・
三平: マッチング・ザ・ハッチ…!?
魚紳: いま羽化している虫に合わせた毛バリを選ぶ… これがフライフィッシングの基本、マッチング・ザ・ハッチだ・・・!! ・・・ゴールデントラウトを誘惑するにはニンフしかない!!
モンカゲがばんばん羽化してる状況ならべつにニンフじゃなくてもいいじゃん、できればドライフライで釣りたいですと思うが、魚紳さんの仰ることは絶対だから。ホウッ。
日本では魚紳さんの影響で、1990年代初頭までは〈マッチング・ザ・ハッチ〉が普通で、1990年代中旬以降に、だんだん〈マッチ・ザ・ハッチ〉あるいは〈ハッチ・マッチ〉と言うようになってきたと思う。ケッヘッヘ。
昭和なわたしは今でも〈マッチング・ザ・ハッチ〉と言ってしまう。ムッ。
今週はいつもの川で〈マッチング・ザ・ハッチ〉を楽しんだ。ギッヒヒ。