昨日は、行ったことがない川へ行った。
わが社では、さいきんになって文明の利器、カーナビを導入した。行きたい場所の住所を登録すると、機械の中の人が案内して連れて行ってくれる。じつはカーナビを持ったのは生まれて初めてだ。
アントニオ猪木が案内してくれるカーナビもあるらしい。出発時には「道? 行けば分かるさ!」とナビのくせに無責任なことを言う。曲がり角を間違えると「右だ、バカヤロー!」とビンタしてくる。目的地に着くと「元気があればなんでもできる! バカヤロー!」とやはりビンタ。
うちのはそんなのじゃなくて、ごくふつうの女の人が教えてくれるナビだ。
「ぴ。」と音がして、日野を出て東に進み、北上するルートが表示された。かなりごちゃごちゃしている感じがする。右に左に数えきれないくらい、ずいぶん曲がりくねってるけど、これ大丈夫か。でもせっかくカーナビを入れたんだから、言われた通りに行ってみよう。
表示されたルート通りに走りだしたが、やはりごちゃごちゃしている。幹線道路を完全に離れて、地元のタクシーしか知らないような裏道に分け入っていく。ふと気づくと、ぜんぜん知らない小さな町にいた。ここはパラレルワールドか。
狭い道のど真ん中で、カートを押したおばあさんが腰をおさえて、ぐうーっとのびている。こちらに気づいて(おやおや、自動車だ。)という感じで横にどいてくれるまでに、1分かかった。
〈この先踏み切りです〉とカーナビに言われて、車のお腹と脇をこすりそうな昭和スタイルの踏み切りが草むらの向こうに現れたときは、天を仰いだ。こっちが道を知らないと思って、わざとややこしい案内をされた。
けっきょく途中でカーナビを切って、紙の地図帳を引っ張り出した。そこからは、釣り師としての野生のカンで走り、目的地に着くことができた。最初から自分を信じればよかった。機械に頼ったわたしがばかだった。
馬は自分が馬主みたいな顔をしたがる。馬主は自分が馬みたいな顔をしないことだ。と、どこかで読んだ。政治家と有権者の関係にも似ている。
スカイネットに負けないように。
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以下、素晴しく有意義で、最高に楽しかった昨日の取材(釣り)を写真で紹介。