アラスカでの人的被害は年に2、3件
アラスカでのアウトドア・アクティビティはベアーカントリーと呼ばれるクマの生息地域での行動が大前提になっている。しかしそのため特に行動が制限されることはない。今まで目撃情報があったり、クマが捕食行動の可能性のあるフィッシングスポットなどには、「あなたの今いるところはクマの生息圏なので注意してください!」と必ず立て看板がある。
サーモンは太古の昔からクマの食料であった。人間がフィッシングしているのはその餌を奪う行為。だから注意して当然、クマには敬意を払いなさい、という大前提がある。それがアラスカのフィッシング。 …
もしサーモンが釣り鉤にかかってファイトの途中にベアーが近くに現れたら、ラインを切ってサーモンをリリースしなければいけない。一度フィッシャマンの捕ったサーモンの味を覚えてしまったベアーは、再度フィッシャーマンを襲う習性が身についてしまうからだ。
何度か経験したが、足場の悪い川岸で釣ったサーモンを抱えてクマから逃げるのは恐怖の極み。クマの届かない川の真中へ捨てて逃げるしかない。しかし多くのフィッシャーマンはせっかく釣ったサーモンは未練があって捨てられない。クマの欲しいのはサーモンであって貴方ではないことがラッキーなことと認識しよう。…
アラスカ流・ベアーサバイバル
現代アラスカ・フライフィッシング事情 7
ウッディ小林(アンカレッジ在住/フィッシング&ハンティング・ガイド/写真も)
『フライの雑誌』第109号より