2008年春、北海道庁がとつぜん「イトウ釣り自粛のお願い」を打ち出すとの噂があり、水面下で大騒ぎになっていた。
そういうことには耳が早い本誌編集部はさっそく北海道へ飛び、道内でイトウの保全に関わっている釣り人たちのグループやイトウ研究者に取材した。5月にフライの雑誌-第81号(2008)で、「幻の魚 イトウ釣りを考える」という大特集を組んだ。けっきょく「イトウ釣り自粛のお願い」は撤回されたのであるが、当時の経緯というかノリは、特集の項目を見るだけでも伝わると思う。
その後、尻別川のイトウに20年以上関わっているオビラメの会の中心メンバーが、2014年に新宿で開かれた釣り人目線のイトウ・シンポジウムで発言するなどの、トピックの広がりもあった。ひとつのテーマを深く長く掘り下げ続けるのは本当にたいへんなことだ。イトウの保護では、人間の手から産卵期のイトウ親魚を守る活動が、精神的にも物理的にもおそろしくきついだろうことは、部外者にも想像できる。
フライの雑誌-第97号に、インパクトある貴重なイトウの産卵行動のグラビアとともに、「尻別川の奇跡、巨大イトウの産卵を見た。」と題した記事を書いてくれた坂田潤一氏が、「尻別川でいつまでもイトウ釣りを楽しむための提案」を語る。
オビラメ勉強会「釣り人ができるイトウ保護」のご案内
オビラメ勉強会「釣り人ができるイトウ保護」尻別川イトウ個体群の復元を目指すNGO「オビラメの会」は、20年以上にわたる尻別イトウ再導入(補充)の試みによって、近年ようやく自然繁殖地の再生にこぎつけました。「オビラメ復活30年計画」(2001-2030)の最終ステージでは、絶滅の危機を二度と招かないよう、いまだ数少ない自然繁殖エリアの厳重な保護とともに、尻別川流域で「サスティナブル(持続可能)な釣り文化」の醸成を目指します。北海道内の釣りに精通する坂田潤一・季刊「釣道楽」発行編集人をゲストに迎え、「尻別川でいつまでもイトウ釣りを楽しむための提案」づくりを試みます。
日時 2017年10月28日(土曜)午後2時~4時
会場 倶知安風土館 電話0136-22-6631 倶知安町北6条東7丁目
話題提供 坂田潤一さん(季刊「釣道楽」発行編集人、オビラメの会)
入場料 無料 どなたでもご自由にご参加ください。申し込み不要です。
主催 尻別川の未来を考えるオビラメの会
お問い合わせ 090-8279-8605(川村洋司事務局長)
後援 倶知安町、倶知安町教育委員会(いずれも申請中)
協力 後志地域生物多様性協議会
じつは、わたしはくまの坂田潤一氏とは、たまたま同世代で釣り仲間だ。しかも職種と立場が似てるということで、この20数年間、どれだけの刺激を受けてきたろう。気持ちの面でも、もちろん誌面づくりでも助けられてきた。東京と北海道と離れてるけど、こころの距離は1メートル。ほとんど愛してるくらいだ。
坂田氏の潜在能力はほんとうに天才的にものすごいのだが、それを効率的に発揮するための、ある意味でのいい加減さや、自分の人生とのやりくりや、周囲の人々とナァナァでうまくやっていこうという意思を、どちらかというと完全に欠いている節がある。
くまだから仕方ないが、たまには人の話聞け。
坂田くんへ。昨日の電話でも釘を刺しておいたが、くれぐれも主題から逸れた余計なことは話さないように。来年の夏は、また北海道のうまいもの食べて一緒にイワナ釣ろう。それから、頼んであるうちの次号113号の原稿もよろしくお願いします。