本年7月に実施された「産業管理外来種の管理指針(案)」パブコメで集まった44件の意見への、水産庁からの回答がでました。〈「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案についての意見・情報の募集の結果について」〉として公開されています。
ニジマス、ブラウントラウト及びレイクトラウトの管理指針について、パブコメを受けて水産庁が原案を赤字のように改訂しています。いろいろ書いてありますが一点。
〈基本的な考え方〉の中で、原案にあった
「利用量を抑制する方法の採用や、生態系への影響がより小さく産業において同等程度の社会経済的効果が得られるというような代替性がないか、引き続き検討を続けていきつつ」
という文言が削除されました。
水産業振興を目的とする水産庁が、「利用量を抑制する方法の採用」を自ら掲げるとはあまりにもばかばかしいと、さすがに苦笑いされたのかもしれません。
代わって、以下の文言が新しく採用されました。
(基本的な考え方)
水産分野における産業管理外来種の利用状況を踏まえれば、現時点では適当な代替性等は存在しない実態にある
そのほか、パブコメに〈寄せられた御意見及びそれに対する考え方〉での水産庁の書きぶりは興味深いところです。おおむね丁寧に対応していますが、肝心な所は紋切り型で逃げている印象です。この回答を出すのに四ヶ月かあ。仕事の遅さについては他人様のことをとやかく言えませんが。
水産庁が頭となって日本の内水面水産業がやってきたこと、なお現在進行形でやっていることは、昨今の生物多様性を第一に掲げる価値観を前にすると、有効な反駁をできる状況にありません。水産庁は特定外来生物法のずっと前から今まで何もしてこなかったし、環境省とけんかしてまで漁業者・釣り人の側に立つことはないでしょう。
いま水産庁が言えることは、「ニジマスを巡る情勢は様々ですので、利用のあり方を含め、必要な取組は各地の事情に応じて関係する主体が連携して検討すべきものと考えています。」と、ごにょごにょくり返すくらいなものです。
まあでも、それでいいと思います。
人間の営為は一様ではありません。状況はどんどんかわっていきます。ごにょごにょ言っているうちに風向きが変わることもあるでしょう。そもそも国がいちいち余計な口をださなくていいと思っています。
(編集部/堀内)
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参考:
> どうなるニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウト
> フライの雑誌-第112号 トピックス欄に関連記事掲載