この季節に狙うポイントは水深10センチ以下

釣り師に定住型と放浪型がいるとすれば、自分は定住型だ。十代のころは人並みに、なにくそ嵐、なにくそ孤独、地球の魚とたたかうぞ、知恵と勇気じゃ負けはせぬ、くらいに思っていたが、人間の質が違った。

裏庭の釣りが、一番落ち着いていて好きだ。そもそも自分はフライフィッシングで魚が釣れるだけで満足してしまうような単純なところがある。出不精だし、できれば自分の部屋の窓枠からフライロッドをつきだしてキャスティングしたいくらい。

さいきんとくに目につく、釣りをなんらかの自己実現の手段にするような釣り人を自分は軽蔑する。かといって、伊藤桂一さんのように、この世で得たいなんらかの志があるわけでもないし、慰めたい立派な魂を持っているわけでもない。自分の釣りはただの釣りだ。

あさ川は毎日ちがう顔を見せてくれる。ふつうにオイカワのフライフィッシングが楽しい。家から5分の川で面白い釣りができなければ、どこへ行ったってそんなに面白くないんじゃないだろうか。ここらへんには「水生昆虫アルバム」の影響があると自己分析する。

とかなんとか言ってる時点で不純度がせりあがってくる感じなのがいやでもある。ぐだぐだ言ってないで川へ行け。

昨日に続いて、今日もドライフライの日だった。試しに沈めてみるととたんにアタリなし。オイカワのフライフィッシングは深い。

一投めで来ちゃった。「かー、これじゃ練習にならなじゃないけえ」「いや、君のポイントの見立てが正しかったということだよ、三平くん!」
この季節に狙うポイントは水深10センチ以下。深ければ深いほど難しくなる。
連発、連発。今日は調子がいいぞ。
ばんばん釣れる。
夏のマシュマロアントは大物オスキラー。ストレッチボディのマシュマロに秘密の黒い羽をはらりと一巻きしてある。瀬でよーく効きますぜ。
島崎憲司郎 著・写真・イラスト「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
〈フライフィッシングの会〉さんはフライフィッシングをこれから始める新しいメンバーに『水生昆虫アルバム』を紹介しているという。上州屋八王子店さんが主催している初心者向け月一開催の高橋章さんフライタイイング教室でも「水生昆虫アルバム」を常時かたわらにおいて、タイイングを進めているとのこと。初版から21年たってもこうして読み継がれている。版元冥利に尽きるとはこのこと。 島崎憲司郎 著・写真・イラスト 水生昆虫と魚とフライフィッシングの本質的な関係を独特の筆致とまったく新しい視点で展開する衝撃の一冊。釣りと魚と自然にまつわる新しい古典。「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
フライの雑誌-第114号特集1◎ブラックバス&ブルーギルのフライフィッシング 特集2◎[Shimazaki Flies]シマザキフライズへの道1 島崎憲司郎の大仕事 籠城五年
フライの雑誌 113(2017-18冬春号): ワイド特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|天国の羽舟さんに|島崎憲司郎
○〈SHIMAZAKI FLIES〉シマザキフライズ・プロジェクトの現在AMAZON
フライの雑誌-第112号 オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
フライの雑誌-第111号 よく釣れる隣人のシマザキフライズ Shimazaki Flies
フライの雑誌社の単行本新刊「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」