なんとなくメランコリック(死語)

大坂なおみ選手の「アイデンティティ」とやらに関するメディアの扱い方を見るにつけ、アジャ・コング選手の子供の頃から日本社会はあんまり進歩してないんだなと思います。むしろ悪くなってる。くだらねえ。

あべといしばと、どっちがいいって、どっちもだめにきまってるじゃんか。おまえ絞首刑と銃殺とどっちがいいって聞かれるようなもんだ。無実なのに。くだらねえ。

などなど、朝にお茶碗抱えてちゃぶ台でブツブツ言ってると「あのう、だまっててくれないかな。ほんと、うるさいよね。教育にわるいし。」と中学生に怒られる。

十九のころ、人生上の業苦を俺が一身に背負ってるつもりで始終昏い顔して俯いていたが、230円のカレーライスを食べると業苦忘れた。カレーライスえらい。いまの自分にとってのカレーライスはオイカワ釣りだ。

なにをふざけんな、こっちは命がけでエサだと思ってフライ食ってるんだ。と、オイカワが化けてでる。

生まれながらの釣り人という方がいる。生物学的に大人になってから後天的に釣り人形質を獲得する人もいる。前者は自分の釣り以外に興味を示さない。後者は他人との比較において技術の優劣や釣果の多寡にこだわる傾向がある。後者はaddictiveである自覚とか後ろめたさすらもっていることが多いが、前者は自己認識なんかどうでもいい。

どっちが幸せかは知らない。

ただごくまれに、生まれながらの釣り師で後天的に中毒度を亢進させ、技術の優劣や釣果の多寡に熱くこだわり、自己認識なんかどうでもよくて原罪意識なんか欠片もない、という無双野郎もいて処置なしである。わが社の本や雑誌にはそういう人がわりと出てくれている。編集者はごくふつうの社会人なので、そういう無双とつきあうのは大変だ。でも楽しい。

牧浩之さんの新しい原稿が届いた。面白くて唸る。企まざる巧さとはこのこと。山と河の恵みで生活している人にしか描けない世界が広がる。しかも次々と新展開。あと奥さんがエラい。原稿が届くたび毎回こうして感動するほどいいから、つい牧さんの原稿が遅れるのも許しちゃうというか、こっちががんばればいいやって思っちゃう。そんなこんなで早14年。甘やかしてしまった。

オイカワ釣りは楽しい。昨日も一昨日も今日も川に立った。が、夕方一時間の釣りじゃぜんぜん足りない。今すぐ一人で行き先告げずに、どこでもいいから思いきり遠くの川へ釣りに行きたい。

前は何も考えなくても釣りに行けたの。でも、今はどうやって行ってたのか、分からなくなっちゃった。

いまわたしがなんとなく攻撃的で、かつメランコリック(死語)なのは、今日の昼間にランチを食べにパスタ屋さんへ出かけて、駐車場の縁石でバンパーへこませたせい。

狭いんだから石出てんなよ石。角でとがってんじゃねえよ。

これは今日。
オポッサムボディに牧浩之カラスのハックル。ソフトハックルだがドライフライのように使うのが面白いし、よく釣れる。
水中の若魚を激撮。
夕方の小一時間だけとはいえ、週に三日も四日も川に立ってる今の暮らしに不満があるわけではないんです。文句言ったらバチがあたる。でもね、でもね、でもね、
これは昨日。16番ソフトハックルをリーダーグリースで浮かせてワンキャスト・ワンオイカワ。
昨日の夕方は大型が入れ食い。色付きオスまで釣れた。
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