本誌特捜部はまいとし河口湖のワカサギ釣りの状況を調査報道している。
うちらのワカサギ釣りは手こぎボートに魚探なしを基本とする原始的なスタイルでがんばっているので、スカを食らう率は高い。その分、野性のカンと経験とで見事群れを探り当てたときの喜びも大きい。
いまや伝説となっている超絶シシャモ級入れ食い祭りの狂騒に始まり、2009年からのままらなぬ数年間もがんばって通った。その間、ワカサギ釣りでアタリもなしの完全ボウズという、流れる涙もでないほどに信じられないような悲惨な目にもあった。
そして2015年、とつぜん河口湖ワカサギが復活した。以降、楽しい美味しい河口湖ワカサギ釣りを堪能している。
2018年シーズン、今年は早い時期からとんでもなくいいらしい、という噂を耳にして、11月4日の湖水に浮かんだ。出船はいつもの湖波ボートさん。朝7時の出船時刻に湖畔につくと、すでに社長と先生とバイト青年が桟橋の端で談笑されていた。あいさつしてさっそくその輪の中にいれてもらう。
ここ数年の河口湖のワカサギ釣りについて、自分たちに関係のない遠い外国の株価のふざけた変動をからかうみたいに、ゲラゲラ笑いながら大声で話した。釣りっていうのは釣りそのものも面白いけど、釣りの前段や後段の釣り好きどうしの交流がそれ以上に面白いのである。浜にうちよせるさざ波がきれいだ。秋の風がさわやかにほほを撫でる。ぼかぁ幸せだなあ。魚が釣れればもっと幸せだ。
で、けっきょく、この日の釣りをまとめると、
河口湖・湖波ボートからワカサギ出船。朝7時から昼すぎまで二人で610匹。10センチ前後良型揃い。餌はチューンド紅サシ、アドバンスドアカムシ。11メートルベタ底から9メートルに満遍なく魚影濃い。これから天ぷら、わっしょい。
こんな感じ。つまり最高。
関東近県でいまワカサギ釣りへ行くなら間違いなく河口湖ですねと断言できる。

第一投でいきなり七連、満艦飾ですよ奥さん! 今日はどうなっちゃうの。
この日のボートの同乗者は、釣りじたいがわりと初心者さん。多点掛けしてとりこむときはまずオモリを船の中のバケツにいれて、上の方の魚からハリを外すんですよ、と教えているのに、毎回下の方の魚から外すものだから、上の方の魚が外れて湖にポチャンと落っこちて「わー」とか言っていた。
上からですよ、と指摘すると、上から外すと下の方で糸とハリがからまるんだよ、と言い訳をする。そしてまたポチャンして「わー」。上からですよ、と何度言ってもなおらない。かならず下の方から外す。そしてポチャンして「わー」と言う。
見ているうちについいらっとして、昔の相模湾で漁の合間に海フライをやらせてくれた百戦錬磨のカツオ船の船頭みたいに、「だから上から外すんだってば!」とお客様を叱ってしまった。
魚を上から外すとか下から外すとか、世の中的にはどうでもいいばかばかしい会話に聞こえるだろうけど、船の上では真剣に上からだとか下からだとか言いあっているのがおかしい。

この時季はまだ寒くなくて快適。アンカーの上げ下ろしも苦にはならない。

時合がよければワカサギワームでもぽつぽつ釣れた。じつは釣れるまでワームのこと半信半疑だった。ごめん。とはいえやっぱりアカムシのほうがずっと釣れるみたい。

午後2時までやって腰が限界。この軟弱ものめ、と自分に文句を言いつつ岸へ戻った。4時までやってれば一人で500匹はかたかった。うれしいことに今年はちょうど食べ頃の良型揃い。1尾平均4グラム近い。岸近くでも釣れるが沖めのほうが型、数ともに満足できる。なるべく水深が深い場所を探すこと。

少しだけ干物にしてみた。うっまーい。あっというまになくなっちゃった。もっと作ればよかった。




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