カブラー斉藤さんとは20年以上のつき合いになる。たいへんつき合いづらい方だ。その間、彼の文章はどんどん独自に進化してきた。独自すぎだが。
以前、〈カブラー斉藤の単行本〉という企画があった。あれこれと準備をして「フライの雑誌」の誌面で告知までした。にもかかわらず、編集作業に入る一歩手前で、カブラー氏の完全な怠慢により、頓挫した。わたしのせいではない。
ところがあれから10余年、昨夜届いた次号第116号用の原稿で、あろうことかカブラーは「例の本だが、版元が出す気があるのかないのか」と書いてきた。
もちろんわたしはすぐに電話して、あのね、ふざけると怒るよ、と言った。(きわめて珍しいことに電話がつながった)
わたしの声には棘があったのだろう。
カブラーはモゴモゴ言っていた。