単行本新刊『ムーン・ベアも月を見ている』への読者カードは、第115号につづき、またしても水口憲哉先生でした。びっくり。
この季節、各地の川からサクラマス釣りの情報が入り始めています。記事を読むと、サクラマスとヤマメの関係について、ひじょうに微妙な点がさらりと書いてあったりして、もやもやします。
サクラマスといえば、水口先生が〈今までに書いた本の中でもっとも気持ちの入った一冊です。〉と語る渾身の作、『桜鱒の棲む川』。
コラムの2、〈ヤマメとサクラマスを分ける鍵、スモルト化〉にはこんな記述があります。
スモルト(銀毛)となって降海するのがサクラマスで、銀毛化せずに河川に残留しているのがヤマメである。この分け方と呼び分けで問題はない。
ただ、二つややこしいことがある。
まず、銀毛化するまでは形態、行動、生理においてサクラマスとヤマメの区別がつかない。
また、河川に残留したヤマメの中にサクラマスと考えられる雄が混ざっている。サクラマスの雌は大部分が降海する。北海道の雄は大部分が銀毛化して降海するが、南へ行くに従ってその割合は大きく減少する。
サクラマスにおける生物としての最大の謎は、残留型(地着き)と降海型(渡り)が進化及び一生の間に、どのように成立または分化したかということだ。
ゲームフィッシュとして人気の高いサクラマス。サクラマスは、故郷の川と海とを行ったり来たりすることで命をつなぎます。サケ科魚類のなかで、いまだもっとも多くの謎が残された魚と呼ばれています。
『桜鱒の棲む川』で少しサクラマスに近づけます。