【公開記事】特集◉「すぐそこの島へ。はじめての島フライ」から、〈島でたくさん釣れた試しがないけれど〉を公開します。(「フライの雑誌」第103号 2014年11月発行)

「フライの雑誌」第103号(2014-2015)、特集◉「すぐそこの島へ。はじめての島フライ」から、〈それぞれの島へ1 島でたくさん釣れた試しがないけれど〉を公開します。夏は終わりそうですが、海のフライフィッシングはこれからが本番です。

フライの雑誌 103号特集◎1 すぐそこの島へ。はじめての〝島フライ〟 身近な〝島〟にパラダイスがある。

012 特集 すぐそこの島へ。はじめての〝島フライ〟
カラーグラビア 佐渡島、瀬戸内の島々、利尻島、礼文島、奥尻島、石垣島、アイツタキ島
屋久島、久米島、竹富島、沖縄島、城ヶ島、うの島、神津島
それぞれの島へ! 島〟でたくさん釣れた試しがない 堀内正徳
日本海のパラダイス? ─ 佐渡島 荏原 隆
瀬戸は日暮れて、あなたの島へ 岩谷一
北海道の離島はスゴい 坂田潤一
〝南ぬ島〟のデカイ魚 ─石垣島 田中秀幸
アイツタキ島の巨大ボーン 後藤司右一
はじめての島へ! 中馬達雄氏 ロングインタビュー[島のフライはバクチです](「海フライの本3」 知らない海へ!
情報のない海や離島でのフライフィッシングの組み立て方)

海フライの聖地? 佐渡島 牧浩之
〈初めての島フライ〉で一匹釣るための8か条


それぞれの島へ①

島でたくさん釣れた試しが

ないけれど

堀内正徳 (文・写真/本誌編集部)

釣り場には、人間は少なければ少ないほどいい、これは釣りに普遍の真理だと思うがどうか。

高校生のころ、釣りに来てまで人間を見たくないとうそぶく子どもだった。

しかしふだん行ける青梅線沿いの多摩川支流はにぎやかだった。崖を下降して「人跡未踏の地だ」と喜んで遡行を始めると、すぐにマス釣り場のなかをうつむいて通りすぎる羽目になった。

その後単独での山行きが増えていったが、家族ができると状況が一変した。

小さな子連れでは源流へ行けない。人が多いのはいやだ。

でもできれば、ラクにたくさん大きい魚を釣りたい。

〝島フライ〟の選択肢が出てきたのはその頃だ。

家族旅行の行き先に水辺を選べば、ちょっとした隙にフライロッドを振れる。

それが島なら、陸つづきの釣り場に比べて人間は少ない。だって島なんだから。

魚だってスレていないのがたくさんいる。だって島なんだから。

あと「島へ行こう」と言うと、家族が喜ぶ。ロマンチックな響きがあるらしい。

観光地化されていない島では、フライマンはまず見ない。自分は他の大多数の人とはちょっと違った釣りをやっているんだという、フライマンの妙な自尊心も満たしてくれる。

ここ10数年でいくつかの島へ通っているが、正直言ってたくさん釣ったためしがない。

最初に行った島─プーケットのピピ島はよかった。

ピピ島からさらに無人島へ小舟で渡って適当に投げたら、妙な毒色の魚と凶暴なダツが釣れた。それだけだがかなり満足した。ピピの思い出がいいのは釣り以外の要素のせいもあるか。若かったし。

久米島へは足かけ4年、のべ7日間通っているが、チャム釣りでのカツオ1匹しか釣ったことがない。脇で漁師がキビナゴでマグロをボンボン抜くのには参った。有名な「はての浜」ではモズクを大量に拾っただけ。

竹富島では、家族三人で灼熱の島内を30分さまよった。脱水症状の幼児を抱えてたどりついた砂浜で、半分泳ぎながら6番ロッドで熱帯魚が入れ食いした。2歳児が「ニモ!」と叫んだ。

勢いで行った石垣島はボウズ。沖縄島では小さなヒラアジを初めて釣って引きの強さにおどろいた。城ヶ島へは何回も通っているけど、ネンブツダイだけ。

神津島は好きな島だ。真夏、回遊してくるシイラを、堤防から9番タックルで狙う。

地元のルアー中学生がわたしを指差して「おっ、トラウトだ」「ほんとだトラウトだ、初めて見たぞ」とどよめいた。彼らがルアーで足元まで寄せてきたシイラの群れをフライで釣らせてもらった。ありがとう。

神津島へは何回でも行きたい。

今夏の屋久島では、エソ2匹とダツのバラしのみ。汽水のカヤック釣りではボウズを喰らった。だって魚いないんだもの。

10歳に成長した「ニモ!」の子が、ルアーで1mのヤガラを釣った。

「うの島」は、富士五湖・河口湖に浮かぶ無人島だ。いつも沖目に眺めながらおかっぱりで釣りをしていた。いつか自分の足で踏みたいと思っていた。

今年初めてボートで渡ったら、第一投目でブラックバスが釣れた。

こんな身近に〝未踏の地〟があった。

〝島フライ〟は釣れない。でも情報ゼロの状態で思いきって体当たりして、たまたま釣れた時のウレシさは、ちょっとすごい。

小さな魚1匹の思い出が、ひょっとしたら20年もつかもしれないのが〝島フライ〟の魅力だ。

フライの雑誌 103号特集◎1 すぐそこの島へ。はじめての〝島フライ〟 身近な〝島〟にパラダイスがある。はじめての〝島フライ〟のための親切ガイド 
身近な〝島〟にパラダイスがある。全国の仲間からの渓流&海フライのレポートと、はじめての〝島フライ〟のための親切ガイド。境界の向こうに何かがある。
特集◎2 Shimazaki Flies 2014 Selection 2
島崎憲司郎
tying , photo , text & illust by Kenshiro Shimazaki
前号に引き続き、[2014シマザキ・フライズ]からの選抜フライ第二弾。シマザキ・ホローボディを画期的に改良した「D.H.B.」(ダイレクト・ホローボディ/Direct Hollow Body)、大ブームのマシュマロ・スタイル最新バージョン。
特別企画 Fritz Gerds Fly Plate Collection
IFFF 2014 Fly Fishing Fair

フライの雑誌社の単行本新刊「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」

ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線」 ※ムーン・ベアとはツキノワグマのことです

熱い想いで研究されているんだなと感じました。動物への敬意も。本当にクマの行動の理解が進んでクマが住みやすい、人も住みやすい、になったら良いです。研究の中でのハプニングが面白かったです。

Amazonで新しいレビューをいただきました。ありがとうございます。

フライの雑誌 117(2019夏号)|特集◎リリース釣り場 最新事情と新しい風|全国 自然河川のリリース釣り場 フォトカタログ 全国リリース釣り場の実態と本音 釣った魚の放し方 冬でも釣れる渓流釣り場 | 島崎憲司郎さんのハヤ釣りin桐生川
6月30日発行

[フライの雑誌-直送便] 『フライの雑誌』の新しい号が出るごとにお手元へ直送します。差し込みの読者ハガキ(料金受け取り人払い)、お電話(042-843-0667)、ファクス(042-843-0668)、インターネットで受け付けます。第116号は2月14日発行
身近で楽しい! オイカワ/カワムツのフライフィッシング ハンドブック 在庫お問い合わせください。
フライの雑誌-第116号 小さいフライとその釣り|主要〈小さいフック〉原寸大カタログ|本音座談会 2月14日発行
フライの雑誌 第115号 水面を狙え! 水生昆虫アルバム〈BFコード〉再
フライの雑誌-第114号特集◎ブラックバス&ブルーギルのフライフィッシング シマザキフライズへの道 島崎憲司郎
フライの雑誌第113号特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|〈SHIMAZAKI FLIES〉の現在AMAZON

フライの雑誌-第111号 よく釣れる隣人のシマザキフライズ Shimazaki Flies
島崎憲司郎 著・写真・イラスト「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
〈フライフィッシングの会〉さんはフライフィッシングをこれから始める新しいメンバーに『水生昆虫アルバム』を紹介しているという。上州屋八王子店さんが主催している初心者向け月一開催の高橋章さんフライタイイング教室でも「水生昆虫アルバム」を常時かたわらにおいて、タイイングを進めているとのこと。初版から21年たってもこうして読み継がれている。版元冥利に尽きるとはこのこと。 島崎憲司郎 著・写真・イラスト 水生昆虫と魚とフライフィッシングの本質的な関係を独特の筆致とまったく新しい視点で展開する衝撃の一冊。釣りと魚と自然にまつわる新しい古典。「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
新装版 水生昆虫アルバム(島崎憲司郎)
『葛西善蔵と釣りがしたい』(堀内正徳)
『葛西善蔵と釣りがしたい』