米国の釣具商さんが発信した記事を紹介します。
専門家に尋ねたという詳細な検討の後に、
具体的な提案をしている。
フライフィッシングの小部屋に乗り込んできた、
コロナという馬鹿でかいゾウについて考える。
私たちは釣りをしてもいいのだろうか、
また、誰かへ釣りを奨めてもいいのだろうか。
なんでゾウ。なんかの暗喩かな。かなりゾウに失礼な気もするが、超長文の内容はだいたい(だーいたい)、こんな感じ。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の指示に従いましょう。都市から遠征しての釣りはお勧めません。釣りはできるだけ地元でしましょう。どんな場合でも(6フィートの)対人社会的距離は保ちましょう。私たちは釣りのプロです。自宅で楽しめる話題やツールを提供します。今は命を守るのが最重要の課題です。かしこく安全に、あなたとあなたの家族を守りましょう。
すぐそこで釣るのがいいよ。部屋の中でだってフライフィッシングは楽しめるよ。
Fishing is great, done alone, or with household members. We encourage hyper-local fishing, whenever possible.
「ハイパー・ローカル・フィッシング」って言われると、かっこよく聞こえる。そういうの好き。自分の場合なら、『オイカワ/カワムツのフライフィッシング』になる。すぐそこの海なら、『海フライの本3|海のフライフィッシング教書』だ。『ブラックバス/ブルーギルのフライフィッシング』も同じ。つり人社さんからもつい最近そっち系の新刊が出たばかり。
そしてもちろん、ヤマメ、サクラマス、アマゴ、イワナ、ニジマスなどなど、日本に生息しているマス類は、ほんとうに多彩で魅力的だ。
それぞれの釣り人に、それぞれの身近な釣りがあるはず。
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藤原辰史さんの「パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ」を紹介します。
歴史から学んで眼前の危機を分析し、提言して、未来へとつなぐ文系の仕事。
本件について自分がこれまで読んだ中で、いちばん有為な文章だった。
今から嵐がやってくる日本で、生き延びる確率を向上させるためにおすすめ。
「想像力と言葉しか道具を持たない文系研究者は、新型コロナウィルスのワクチンも製造できないし、治療薬も開発できない。そんな職種の人間にできることは限られている。しかし小さくはない。たとえば、」
「本当に怖いのはウィルスではなく、ウィルスに怯える人間だ。」
「せめて新型コロナウィルスに関する記事だけでも無料で配信するのが、メディアの社会的責任である。」
(藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ)
B面の岩波新書|岩波新書編集部
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もうひとつ。取材の相手先が発熱、ウィルス検査に回ると聞いて、「無罪放免を祈ります。」と書いているライターさんのフォローをやめた。物書きとして失格だと思う。
原発事故の後の樋口明雄さんへのインタビュー記事を思い出した。
「じつは、これを言ってそこでつきあいが終わるなら終わってもいいや、と思ってた。年賀状だから、ふつうに子どもの写真をのせて、あけましておめでとうございますで、すませる手もあったんだけど。〝ぼくはこういう立場です〟と明確に言っておく必要があると思った。」
作家 樋口明雄さんインタビュー「自分の仕事を武器にしたい。」
樋口さんほどの強さは自分にはない。
でも原発と同様、こういう局面では人間関係が整理される。
いま自分は、身近な仲間へやたらと連絡を取っている。
みなさんわりとお暇らしく、けっこう相手をしてくださる。
すげえ楽しい。お試しを。