雨降ってるよ、って俺が言ってるのに、「ワクワクしてきた。今から行く。」って言ったのが菅笠のおじさん。おかしな人ですねえ、って言ったら、「褒められた。」だって。どうしようもない。だめだこりゃ。
ロンメルのおじさんも、「行こうかな。」って言ってきたから、いまは小雨だけど時間たつとやばいかも、と、言外に来ない方がいいよって俺が親切に教えてあげてるのに、「水が増えていい感じですね。では後ほど。」だって。ぜんぜん通じてない。
クマスプレーのおじさんは、すごく遠くの草むらから、中腰になってひょこ、ひょこって頭を出しながら近づいてきて、隠れてる風をかもしだしてる。おーい、こっち、こっちって俺が声をかけたら、「わー、見つかっちゃった。」だって。意味わかんないし。
雨降ってるのにわざわざオイカワ釣りですか。
三人とも頭おかしいんじゃないですか。
土手を降りる途中で、なぜか俺の脳内で河島英五さんの再生が始まった。釣ってるあいだ頭の中では延々と「時代おくれ」がループしていたのだった。
おじさんたちと楽しく会話していながら、頭の中はずっと「時代おくれ」だったので、なんかちょっと裏切ってた感ある。
アタリが来たなら微笑んで、ラインを少し張るだけさ。
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フライの雑誌社では、ここに来て日々の出荷数が増えています。「フライの雑誌」のバックナンバーが号数指名で売れるのはうれしいです。時間が経っても古びる内容じゃないと認めていただいた気がします。そしてもちろん単行本も。
島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。