鬼滅の刃最高。
でも無惨様に全身バラバラにされるのがわかってるのに、〝柱のために肉の盾となれー〟〝役に立つんだー〟と団子になり、やっぱりバラバラにされるモブ隊士たちを称えるような描写は苦手。
モブに命かけて庇われる立場の柱も、〝みんなの役に立ちたい。〟というセリフをしばしば口にする。
無惨様風に言うと、「解せぬ。今ここで死なずとも家に帰って日銭を稼いで、屑のような生を面白おかしく暮らせばよいではないか。どうせおまえたち人間はすぐ死ぬんだから。」
無惨様は自分の命以外に価値はないと思っている。柱の命もモブの命も赤ん坊の命も年寄りの命も同等で無価値。未来の誰かのために今死ぬのを覚悟で鬼に挑む人間どもを理解できない。
私は無惨様に同意したい。なにかの役に立つために、今死ぬとか、今死ねとか、今死なんでどうするとか、違う、そうじゃない。
ただし無惨様の基本スタンスは〝私の役に立たないお前は今すぐ死ね。〟。それって〝みんなの役に立ちたい。〟と表裏一体だから、無惨様は後で破綻してしまう。
全編で主人公および柱および雑魚隊士による〝足手まといになりたくない。〟のセリフも頻出する。
黒死牟は死の間際に言う。「私は一体何の為に生まれて来たのだ。教えてくれ。」
役に立つとか立たないとか、邪魔をするとかしないとか、何のためにとかを基準にするから、人生はややこしくなる。
死は各自色々であろうし誰でも死ぬのだが 砂漠の中の小さな街をトボトボと歩き 人と他愛ない話をしながら老いて死ぬのはやっぱりラッキーなのではないのだろうか?
(いましろたかしさん 『ラッキー』へのコメント)
敗北決定の前線で軍曹(?)さんが部下へ勇ましいことを言ったあとに塹壕から飛びだして、かっこ悪くて弱そうなロボットにぱすんと撃たれて、「あ。」と言って死ぬ白いコマで終わる、いましろさんの短編作品がなんだったか思い出せない。魚雷さんに聞けばたちどころに教えてくれるだろう。
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