…温暖化の影響でサケに適した海水温のエリアが北海道から離れオホーツク海側の川に戻ってくる量も減っている現状を紹介しました。
そして、人工ふ化で放流するだけでなく環境変化に強い野生魚を増やすため、自然産卵がしやすいように川の環境を改善する必要があると訴えました。
また、斜里町水産林務課の森高志課長は、資源回復に向けた網走市や斜里町の漁協などの取り組みとして、サケが川を遡上しやすいように石で河床を底上げして落差をなくしたり魚道を設けたりしていることを紹介しました。(NHK 北海道 NEWS WEB 11月09日 07時21分)
日本のサケ・マス増殖は、もともと重要な国策事業として進められていた。時代が変わり、人為的な大量放流は、生物多様性の観点から国際的にも疑問を提示されるようになっていた。
それを無視して、なお人工ふ化放流に頼る増殖を続けてきた結果、家魚化が進み、自然環境の変化が引き金となって、現在の〈サケ・マスが獲れない〉状況に至っている。
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「ダムをやめ、川を川として活かす。乱獲はしない。何もしなければサクラマスは増える」
2010年、『桜鱒の棲む川』は、サクラマスの自然再生産の推進を唱えた。
当時、本書の議論へ真摯に反応してくださったサケマス増殖の関係者さんは、ごく少数だった。ほとんどは無視。その気持ちは理解できる。目に痛いし、耳に痛い。へたすると自分の仕事がなくなるからだ。
10年たって、今やサケにおいてさえ、人工ふ化事業の見直しを、公然と議論せざるをえないほどの苦境にある。見ないようにすることができないくらい、疲弊した人工ふ化事業の現実が、露呈してしまっているということだろう。
まだ間に合うと思う。
試しに川も魚もほっといてみればいい。
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