「これを読んだらフライがいやになる」本は挙げられるけれど、「この一冊しかない」と胸を張れる本は、すぐに思い浮かばなかった。
初心者向けの一冊でフライフィッシングの魅力のすべてを語ろうとしてもそんなの無理に決まっている。フライフィッシングの楽しみ方には膨大な背景があるので、その中から無理やりに力業で編集したところで、大山鳴動して蟻一匹か虻蜂取らずになってしまう。
釣りなんて、本で読んでお勉強して覚える遊びではない。とくにフライフィッシングは
「入門者にはその人の人生にとって、文学的なくさびになるような一冊を私はすすめたい。技術論なんかどうでもいいのだ。出版社やライターにはもっとがんばってほしい。いつまでも30年も前の本を、いいよ、いいね、と言いたくない。」
【公開記事】
入門書を考える 帯に短し、タスキに長し入門者に渡したい一冊とは 小柳健太郎(東京都)
弊社ではこれから〝はじめてのフライフィッシング的な本〟をつくろうとしている。なのに、バックナンバーにいやな記事が載っていたことを思いだした。
ふだんフライの雑誌社は高所大所から何かとえらそうなことを言っている。そういう版元が、〝はじめてのフライフィッシング的な本〟をつくるのは、けっこう危険だ。
こういう小柳さんみたいな、ケチをつける相手を常に探しているくせに、自分はぜったい安全地帯から出ない、ただひたすらウザいおじさんに、わざわざエサを与えるようなものだろう。
何回か寄稿してもらっているこの非生産的な小柳さんとは、今はもうお付き合いがない。中身は俺だった。だんだん、無記名や匿名のひとの記事や発言は、媒体問わず無価値だと思うようになったので、つまらないペンネームを使うのはやめた。
まったく、他人様の一生懸命やったしごとに茶々を入れるだけなら、いくらでもだれでもできる。
しごとを始める前に、まず根がかりした心を外すことから始めよう。誰だって、釣りをやっていれば、いつだって初心者時代のはずだから。
///
フライの雑誌社では、ここに来て日々の出荷数が増えています。「フライの雑誌」のバックナンバーが号数指名で売れるのはうれしいです。時間が経っても古びる内容じゃないと認めていただいた気がします。そしてもちろん単行本も。
島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。