東京水産振興会さんの「内水面漁協の活性化に関する研究」ウェブセミナー視聴。堅い系の報告会では頭抜けてぶっちゃけていて面白かった。栃木県立馬頭高校水産科さんの授業報告が特によかった。
第一部、釣り人と組合員が釣った魚を漁協が買いとることで内水面漁業の活性化につなげられれば、という発想は漁業の本筋だ。魚を釣って売買する商行為が、これだけ痛んだ日本の川と湖のどこで持続的に可能かと考えると、もちろんほぼ無理。実態とはかけ離れてはいるけれど、夢を考えるのは気分がいいことだ。えらそうですみません。
セミナーの中で、「川と湖に関心を持ってもらう」と何回も繰り返されていた。ほんとにそのとおりで、世間様は川と湖に暮らしている生物たち、そして釣りができないと生きていけない釣り人のことに、あまり関心がない。悲しいことに。
霞が関の大会議室でやるより、参加者の皆の肩の力が抜けている気がするのはウェブ効果なのかも。あとはPr.リーダーの坪井潤一さんの人柄か。さいごに中村智幸さんが坪井さんと並んででてきて、長谷前水産庁長官と三人で和やかにフリートーク。気持ちいい感じだった。70年前の漁業法改定時に、内水面漁業の実態は薄いという前提ですでに議論されていたという記録は、とても興味深い。「沿岸漁場管理制度」を頭にインプットした。
2021年の現代、日本の内水面漁業(ということは釣りと同義)は、風前のともしび、というのは当事者の行政も認める共通認識になっている。人口減と予算減は進む一方だ。新しい漁業管理のシステム導入どころではない、というのもその通りだろう。あらかじめ規定された衰退のしっぽを引き延ばすしかない。今までさんざん一方的にぶん殴られてきた相手をうまいこと利用するために、今後は握手することも厭わず。というのは役所的力学からの現実的な提案なのだろう。いままでほぼ何もやってないんだから、それはそれでやってほしい。
釣り人には、全然違う発想とやり方がある。大きな絵ではなくて、もっとずっと身近な話だ。自分が好きな釣りをもっと気持ちよく楽しみたいと思う心から、いろんな行動が始まる。個々人のNIMBYでいい。たとえば近所の川で楽しい釣りを脅かす無意味な工事が行われているなら、漁協と役所へ電話する。それをみんなでやる。それだけで全然変わる。
このセミナー内容ならYouTubeでぜひ公開してほしい。えらそうですみません。
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