タクシーなんて松茸なみ

銀座への納品のついでに五丁目で知り合いの個展、帰りにランブル。淹れる所作に見惚れる。仙川へ帰ってきて、来年に出す新しい単行本の構成を考える。気持ちだけ先走るがまだ形になってこない。今日の阿佐谷での待ち合わせは深夜、帰りは電車がなくなるのは確実だ。こんな時代なので(どんな時代だ)、我が社にとってタクシーなんてぜいたく品は松茸なみである。ママチャリで行くことにする。仙川から1時間まじめにペダルをこいで阿佐谷に着き、荒い息をつきながら吐夢で焼きビーフンを食べる。気が付くと朝4時。じゃあ帰りますと環八を南下するも間違えようもないところで道に迷い、夜明け前の住宅街でママチャリにまたがったまま途方に暮れる。怪しすぎ。朝5時ぴったりに脚が動かなくなった。イノーとかモゼールとか往年のヒーロー達の面影を思い浮かべて気合いを入れ直し朝6時にようやく調布へ着いたときには相当な達成感に包まれた。でももうしばらくママチャリはいい。
『われら以外の人類』(朝日選書)を読了。たかだか400万年前は猿人だったくせに我々は何をえらそうにしているのか。『フライの雑誌』第75号への感想を何人かからいただく。ありがたい。