雑誌を作っていると楽しいことがある。
昨日、お電話をいただいた。
〈フライの雑誌〉のウェブで紹介されていたトピックスの元記事を読みたい、掲載バックナンバーありますか、と誠実そうなご年配の方。
聞いたら自然保護関係の活動を長年やられている方で、本は品切れでもあったので、掲載後の追加情報も含めて、記事の内容を電話口でこと細かに説明した。
お互いに名前を名乗って、新しい知り合いになった。
こういうことがあれば、逆もある。
こっちがタンメン屋さんの親父だとして、たまたまやって来た一見さんが、ろくにどんぶりへ箸もつけていないうちに、こんな風なことを言ってくる。
「親父さん、このタンメンをウチの海の家でも出したいんだ。スープと麺と具材を分けてくれないかな、タダで。」
言ってきたならまだかわいい。黙って懐へ入れて持ち出して、自分の作ったタンメンだと偽り、よその店で売り出した人もいたから、世の中はおそろしい。
持ち出した本人はもちろん論外だが、盗品タンメンと分かっていて売るほうも売るほう。天は見ていますよ。
□
「少女を埋める」論争が文学史上「奇妙」と言える“3つのワケ”
私小説をめぐるトラブル最新事例
この記事がとても面白かった。
私小説として発表した作品の読まれ方に、作家が自分で注文をつけるというのは、早い話が、ビビったということだ。
覚悟がないなら私小説なんて口にしない方がいい。
自らが書いた虚実にまみれ、周囲を傷つけまくり、大クズを貫いて死んだ葛西善蔵さんを見習いなさい。
まあ善蔵さんでも、あれは本当は書かなきゃよかったんだよとか、書きすぎちゃったけど仕方ないやとか、うるせえとか、俺の人生ちょっとツイてなかっただけだよとか、月に三十五円もあれば家族五人が飢えずに暮らせる。それくらいどこかから出てきてもいいのにとか、実際はぐちぐちあったろうけど。
〈フライの雑誌〉第122号を発行しました!
特集は、〈フライの雑誌〉初の入門編「はじめてのフライフィッシング1」。島崎憲司郎さん + 山田二郎さんの「初公開 ホットワックス・マイナーテクニック」です。
目次はこちら
※取り扱い店舗様には2021年6月5日以降に並びます。
※少部数です。ご予約注文をおすすめします。
※Amazonなど各書店・ネット書店でも扱われます。ネット書店経由での発送は6月中旬からになります。