プチ逃避行

「週刊プロレス」を買った。プロレスマニアではないことを公言する新編集長が<プロレス村以外>の読者を意識してつくる誌面は、毎週特集企画を組む一般誌的な構成に変わり、文章も格段に読みやすくなった。先日亡くなられた井上義啓氏からターザン山本氏へと続く、日本独自の活字プロレス文化の自己陶酔的な薫りはまったくない。京王線の調布駅から特集を読み始めたら降りるべき仙川を無視して千歳烏山まで乗り越し、ありゃ行き過ぎたと思って折り返したら、また仙川を無視してつつじヶ丘まで乗り越してしまった。さらにそのまま二宮金次郎状態で仙川駅近くのドトールに密航し、結局巻末まで一気読みしてしまった。活字プロレスの欠如はもちろんさびしいこと限りないし、記憶にないくらいの雑誌の束の薄さも気にはなるが、私には新しい「週刊プロレス」は面白かったのである。ここ数年は生観戦の回数が激減していたのだが今年は後楽園ホールを中心にプロレス観戦習慣を復活させよう。『フライの雑誌』第76号の発行まであと19日。