甘酸っぱい記憶

都内の喫茶店でインタビュー取材。『フライの雑誌』としてはほぼ15年ぶりくらいにお会いする方である。いろんなあれこれがあって長いご無沙汰になったわけだが、個人的には彼が若い頃にものしたフライフィッシングの入門書を、文字通り背がボロボロになるまで読み込んだ甘酸っぱい記憶がある。その単行本で彼が書いていた内容と、後年彼が説いた理論とがまったく正反対なのがずっと気になっていた。その点を指摘して伺うとニヤリと笑い、「10年かかったんだよ」。ズイと身を乗り出した。店を出ると青空である。