朝起きたらどうにも天気がいいので、これは渓流へ行くしかない、と思い立った。
この時季ではまだ早いと重々分かりつつも、どうしても水面で、できれば大きなドライフライで釣りたい。12番くらいのブッシーなやつを瀬にばーっと流して、どばっと出てくれれば最高だ。なんて、出るはずがない。なぜなら今は春浅き3月だからである。
ドライはあきらめ、水面直下のミッジとニンフの見釣りでヤマメを数匹釣った。フライロッドを通してなつかしいローリングの振動が伝わってくると、今年もヤマメ釣りが始まったんだなあと実感する。型のいいヤマメは家族と食べるために野締めしたところ見る見るうちに肌が黒くさびた。
半年ぶりの川歩きのせいか、ウエーダーの足元がおぼつかない。たった半年のブランクでこんな体たらくでは、恥ずかしくて天国のお父さんに顔向けができない。
それにしても釣りの一日はなんて時間の進むのが早いんだろう。釣りしていれば人生なんてあっという間だ。