DHCさんが発行している『みんな、げんき?』というカタログ雑誌があります(発行部数300万部ですって!)。その最新9月号で表紙を飾っているのが、群馬県桐生市に住む〝現役世界最高齢の〟バンブーロッド・ビルダー、中村羽舟さんです。
自作の竹竿を両手で頭の上でかかげ、おだやかに楽しげに笑っていらっしゃいます。いい年齢を重ねて来られたことが一目で分かるカッコよさです。アンチエイジングってなんじゃらほい、とか言ったらDHCさんは微妙な顔をするかもしれませんが。
じつは羽舟さんには、私どもの季刊『フライの雑誌』の前号第92号「特集◎ただ一本の竹竿 2」の表紙にも、どアップでご登場していただいたばかりです。日本刀のように斬れ味のよさそうな、淡いトーンの竹竿を手にしたしぶーい横顔が羽舟さんその人です。
半年のうちに2回も雑誌の表紙になった81歳は、なかなかいらっしゃらないでしょう。なにせ水着のグラビアアイドルよりも、81歳の羽舟さんのほうが、はるかにフォトジェニックなのです。編集者なら誰でも、羽舟さんをカバーボーイにしたくなるに違いありません。
『みんな、げんき?』はオンライン上で全ページを読むことができます。朋友でありよきパートナーの島崎憲司郎さんと共に、羽舟さんは誌面でこんな風に紹介されています。
昔は、アユやヘラブナ釣りの竹竿をつくっていた中村さん。15年ほど前、近くに住むフライタイヤー(毛ばり製作者)、島崎憲司郎さんとの出会いをきっかけに、本格的にフライの竹竿づくりを始めました。
断面が正三角形になるよう削った竹を、6本精密に張り合わせた「羽舟竿」。西洋の釣り文化を代表するフライフィッシングと、日本の和竿の匠の技の融合です。
島崎憲司郎さんは、『水生昆虫アルバム』などの著書もある、世界的に有名なフライタイヤー。島崎さんが使うバンブーロッドも、中村さんの手によるものがメイン。フライフィッシングの世界で有名なおふたりが、ご近所同士なのも桐生という土地柄でしょうか。
島崎憲司郎さんは『フライの雑誌』第92号にカバーストーリーを寄せてくれました。そのタイトルは、「羽舟さん」。飾らない羽舟竿のように、まっすぐに空へ抜けていくようなタイトルです。
羽舟さんへの深い愛情がにじむ、島崎さんにしか書けない名文です。ずっとこころにのこります。かなりおすすめです。