「ぜひ鹿児島に来てください。」

鹿児島のフライショップ、ちゅうまんの夢やの中馬氏による「悩まないフライマンたちへ」は、『フライの雑誌』に人気連載中だ。最新第82号の記事の終わりで、中馬氏は「ガソリン高騰の折、言いにくいですが、ぜひ鹿児島へ来てください。いっしょに楽しく数釣りしましょう。」と呼びかけてくださった。

第82号ではカマスのフライフィッシングの数釣り奥義について、その端緒を紹介してくださったわけだが、その「数」がどのくらいのレベルかというと、ちょっと都会っ子のぜい弱な常識では、まったく想像がつかない。

今日私は中馬氏から電話で、鹿児島カマスの最新状況を教えてもらった。それによると、「昨日は朝夕に1時間ずつやって、合計軽く100ピキ超え。」だったそうだ。ここ数週間は毎日、「朝カマス釣りに行って、帰ってきてカマスさばいて、干して、夕べ干したカマスをとり込んで、冷凍庫に入れて、カマス釣りに行って、帰って来て干して・・・。」の連続。中馬氏のみならず、第82号で紹介したお仲間のフライマンたちもほぼ同様で、まさにカマス漬けの日々を過ごされているとのこと。

彼らをそこまで熱くカマス釣りにかりたてる理由はなにか。私は5年前に中馬氏に知己をいただいた。そして今年の6月に鹿児島へ行き、彼らの釣りをほんの少しだけ体感させてもらった。そんな私は、心からの畏敬の念を込めて「C’est la vie」とつぶやくだけである。なんでフランス語なんだ。

彼らは、数釣りすることそのものが目的なのではない。その先に見えてくる「新しいなにか。」の光の尻尾を追い求めている。釣りはどうせ遊びなんだから、もっと遊んでやろう、もっと楽しんでやろう、というどん欲な素直さがその底流にある。それはもはや人としての哲学である。

聞くところによると、中馬氏らの100、200,1000といった数釣りを、数釣りだというだけで批判的に語る方も、なかにはいるらしい。しかし、挑発的な物言いをすれば、数を釣ったことのないヒトには、いつまでたっても、しょせん、数釣りのその先の世界は、見えてこない。口先だけの数釣り批判は空虚だ。だって釣ったことないんじゃお話しにならない。

今はピンガマス(一年子カマス)の最盛期だ。そんなわけで、中馬氏とそのお仲間のフライマンは今日も今日とて、近くの堤防へカマスを数釣りに行く。そしてときどき、50センチ級のカンパチが、カマスに混じる。それを#6のフライロッドで、みんなでわあわあ言いながら遊ぶのだそうだ。なんてぜいたくなフライマン人生なのだろう。

中馬氏いわく、「ぜひ鹿児島に来てください。」とのこと。興味ある方は、『フライの雑誌』の「悩まないフライマンたちへ」を読まれた上で、中馬氏のお店へお気軽にどうぞ。外見も中身も、とってもやさしい方です。

9月新刊、釣りをとおした環境教育『宇奈月小学校フライ教室日記 先生、釣りに行きませんか。』