■「タマちゃん」がメダカを食う!
緊急声明 2002年8月10日
私たち「生物多様性倶楽部」は、多摩川下流に出没している「タマちゃん」の早急な駆除を、関係各機関に訴えます。「タマちゃん」は魚食性です。大量の魚を食べます。メダカ、フナを始め、アユ、ウナギといった日本の貴重な魚類はすべてエサとなり、多摩川の「生態系」は完全に破壊されます。多摩川中流にはホトケドジョウ、アカザといったレッドデータブックに記載されている絶滅危惧種も生息しています。いまは下流にいる「タマちゃん」が気まぐれで中上流へ遡上し、これらの希少種を食べないとは誰が言えるでしょうか。多摩川には「タマちゃん」はいてはいけないのです。
さらに恐ろしいのは「タマちゃん」が多摩川で繁殖した場合です。一頭が現れたのですから、他にもっと出てこないとは言えません。何頭もの「タマちゃん」が集結したら、多摩川に「タマちゃん」の一大繁殖地ができてしまいます。多摩川にあふれた「タマちゃん」は、生息域を拡大しようとするでしょう。多摩川の次は、荒川、利根川といった大河川が当然のように狙われ、「アラちゃん」「トネちゃん」が出現することになります。「アラちゃん」が用水路を遡上して、ムサシトミヨの生息地に侵入することも大いに考えられます。多摩川には「タマちゃん」はいてはいけないのです。
私たちは、この「タマちゃん問題」に対する大きな責任がマスコミにもあると考えます。マスコミは「タマちゃん」をテレビで連日報道しています。そもそも「タマちゃん」は多摩川にいてはいけないのですから、それを報道してニュースの素材にしているマスコミは犯罪を犯しているのです。「タマちゃんかわいい」と言って押し掛けている見物客ももちろん犯罪者です。
私たちは存在そのものが違法な「タマちゃん」を見過ごすことは絶対にできません。「タマちゃん」が多摩川で繁殖してしまってからでは取り返しがつきません。私たち「生物多様性倶楽部」は、関係各行政機関へできるだけ早い「タマちゃん」の駆除を要求します。緊急声明 2002年10月1日
それ見たことか! 私たち「生物多様性倶楽部」の警告を関係各機関が無視したために、大変な事態が起こってしまいました。私たちの予想通り、やはり『タマちゃん』は増殖しました。多摩川から姿を消した『タマちゃん』が、鶴見川、大岡川、帷子川へ海流に乗って南下したなどとマスコミは報道していますが大間違いです。あれらは全部、別モノです。つまり現在我が国には『タマちゃん』『ツルちゃん』『オカちゃん』『ビラちゃん』、合計四頭のアゴヒゲアザラシが不当に生息しているのです。〜(後略)
『フライの雑誌』第59号(2002年11月発行)94ページ「スラックジャーナル」の一部です。当時はブラック過ぎるかなと思いましたが、今読むと現実がフィクションをさっさと追い越してしまっている感もあります。なんだかなあ。
この号の「スラックジャーナル」は面白かったなー、と、なおも読んでいたら、誤植を見つけてしまいました。98ページ「クリーク」は正しくは「クリール」です。あちゃあ。
https://furainozasshi.com/backnumber_html/backnumber5901.html