「ダムと観光振興!? 川と温泉の振興策を考える全国集会 大会宣言」2013/10/5-6

[最上小国川の清流を守る会]さんウェブサイトより

2013年10月5日-6日

ダムと観光振興!? 川と温泉の振興策を考える全国集会 大会宣言

 2013年10月5日から6日、「ダムと観光振興!? 川と温泉の振興を考える全国集会」が、70余名の参加の下に山形県最上町赤倉温泉で開催された。

講演とシンポジウム、現地視察、小国川全域ウォーク(9/21、10/5)を通じて、私達は改めて最上小国川の豊かな河川生態系を体感した。特に、ダム建設予定地直下流部でのヤマメの産卵光景や、スナヤツメの生息に参加者の多くが感動した。

 集会を通じ、穴あき(流水型)ダムでも河川環境への影響がありうるし、小国川ダムのように小さな穴の場合、少なからぬ悪影響が懸念されることが科学的に明らかにされた。ダムによる環境悪化が鮎やイワナ、ヤマメ、サクラマスに影響を与えれば、東北屈指の鮎釣り河川で有名な小国川ならではの魅力にダメージを与える。ダムが造られればその印象だけでも釣り人は半減するという事も示された。

 最上町は過去10年で1634人の人口減少があり、舟形町も含め、今後更に人口減少に伴う存亡の危機に直面している。それを回避し、如何に持続可能な地域へ転換させられるか、人口減少に歯止めをかけるためには、地域経営として明確なビジョンと戦略を以て住民が本気でとりくまなければならない。地域の方々がここに住んで良かった、ずっと住み続けたいという地域づくりが前提である。観光政策はその一環であり、地域住民が日常の中でその地域ならではの価値ある幸せを見いだし、それを訪れた人々が享受するいわば「感幸」戦略を実践することが重要であることが確認された。

 観光振興を考えた際、単に赤倉温泉の治水を達成し、安全安心を確保しても、この地域に必然的に来たい気持ちを生む魅力がなければ、温泉街や地域の再生にはつながらない。その魅力をアピールするには、温泉や里山景観とともに鮎、ヤマメ、サクラマス、サケなどの生物多様性に富むダムのない小国川流域のポテンシャルを存分に活かすことである。とくに小国川における釣りの魅力は東北地方でも特筆に値することから、海外の先例も参考にそれを観光に活かす取り組みが求められる。

 人口減少による地域の存亡の危機を乗り切るためにも、地域がもつ本質的な魅力や価値を見直し、子ども達への“未来の投資”たる公共事業とは何かを真剣に考え直す必要がある。

 未来のこどもたちに、持続可能な最上町、舟形町、赤倉温泉を手渡すため、山形県は最上小国川ダム事業を中止し、赤倉温泉街を中心とした河川改修とそれに伴う温泉街の再生事業に転換すべきである。以上が集会参加者の総意である。ここに宣言する。

2013年10月8日


川と温泉の振興策を考える全国集会in小国川 参加者一同。

>フライの雑誌社から送ったメッセージ

最上川の支流、最上小国川を守ろう!ogunigawa.org of oguni_river  最上小国川の清流を守る会
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