うちの子と近所の子を連れて、目の前のあさ川でフライでハヤ釣りして遊んだ帰り道、西の空の夕焼けを見ながら土手の上で世間話する。
近所の子: 今夜のおかずは何だろう。から揚げだな。
わたし: なんで分かるんだよ。
近所の子: おれが好きだから。お母さんが作ってくれるんだ。
うちの子: ○○(自分の名)もね、から揚げ好き。
わたし: から揚げは家でよくたべるのか。
近所の子: うん。ハンバーグとかパスタとかお母さんよく作ってくれる。すごく良くて、寿司。
わたし: 寿司いいじゃん。
うちの子: ○○(自分の名)もね、寿司好き。おじいちゃんが連れて行ってくれる寿司久がいいんだよね。
近所の子: でもおれのお父さん、寿司好きじゃないの。マグロとかあぶらっこいのが苦手なんだって。
わたし: へー、お前の父ちゃん、通(つう)じゃん。
近所の子: 通? おれのお父さん、痛風だよ。
わたし: そうじゃないんだけど、そうか痛風か。それはきのどくだな。ビールとか飲む人なのか。プリン体ゼロか。
近所の子: 「麦とホップ」とか飲んでるよ。
わたし: そうか。お前も飲むのか。
近所の子: おれは飲まないよ。あんな苦いの。
うちの子: ○○(自分の名)んちはね、「淡麗グリーンラベル」。ママが好きなの。パパは飲まないけどね。あ、飲めないのか。
わたし: よけいなことを言うなよ。いいんだよ誰が何を飲んだって飲まなくたって。ああ、そろそろ暗くなって来たから帰りな。
近所の子: うん、今日はありがとうございましたっ。おう、またなっ。
うちの子: また明日っ。
自分が若いころは、子のいる自分は考えもつかなかった。今のわたしにはたまたま子がいる。子がいると世間の雑事にいやおうなく絡めとられるし、子がいなければ関係のなかったはずの心配事を抱える。子がいないころからは想像もできないほどに、自分の自由が制約を受ける。
まあでもこういう時間はもうちょっと続いてくれていいかと思う。