「明るい日差しの中で咲き誇るサクラの絵を描こう」。戸出喜信さん

『フライの雑誌』の人気連載陣のひとりで、第96号にも寄稿してくれたパリ在住の洋画家、戸出喜信さんのニュース。

新作「桜」のお話は電話でいろいろとうかがっていました。

「明るい日差しの中で咲き誇るサクラの絵を描こう」

大きな理不尽にあらがう、絵の力、音楽の力、文章の力を信じたいと思います。

市は合併後に市の花に決定したサクラをテーマに戸出さんに制作を依頼、完成作品の搬入に合わせて戸出さんが来日した。

 桜は横三・九メートル、縦一・六二メートルの300号の大作。戸出さんは一〇年七月にパリ郊外のアトリエで描き始め、当初は横に張り出したソメイヨシノの枝の背景を紺色に描いたが、昨年の東日本大震災で「こんな暗い絵ではだめだ。明るい日差しの中で咲き誇るサクラの絵を描こう」と描き直しを決心。昨年十二月に完成させた。

 戸出さんは「日本人が大災害に遭い、絵を見てくれた人が少しでも希望を持ってもらいたい、心に染み込む絵にしたいとの思いで描いた」と語った。副題は「希望が蘇(よみがえ)る花」。