『反原発の思想史: 冷戦からフクシマへ』(絓秀実著)

資本主義批判としての反原発。この視点こそ、今日もっとも必要なものにほかならない。そうでないとすれば、反原発の論調は、せいぜい「安全な」クリーン・エネルギーというベンチャー・ビジネスに回収されていくだけだろう。そして、ベンチャーこそ、本質的に新自由主義的なものであることは、リーマンショックに帰結したこの一〇年の経験で、誰もがウンザリするほど知っていることではないだろうか。(130頁)

『反原発の思想史: 冷戦からフクシマへ』(絓秀実著)前半から。ニューエイジ、ニューアカ、宮澤賢治、クロポトキン、毛沢東、吉本隆明、津村喬、黒田寛一、高木仁三郎、ビートニク、H・ソローなどなどこれでもかっくらいに満載。〈1968年〉にこだわって現代社会する基本姿勢は同著者既刊『1968年』(おもしろかった)から継承。上記引用は孫正義氏批判の一文。

本書前半、電源三法を策定した田中角栄は原子力の力を手にすることでアメリカ支配から抜け出ようとしてロッキードで刺された、はともかくとして、五・一五事件の背景には後の森元首相が口にした〈天皇を中心とした神の国〉思想につながるクロポトキン的アナキズムの情動あり、みたいなこと言われても(誤読ですか?)、知識不足でよくわからない。

仕事もしなくちゃならないんだけど、止まらなくなったから読みすすめます。

『反原発の思想史: 冷戦からフクシマへ』