いくらなんでも

やりすぎでしょう、と思わず三歩引いてしまうこの厚み。

ドカベンよりも厚いこの本は、『フライの雑誌』88号でロングインタビューした大藪賞作家樋口明雄氏の新刊、『WAT16(ワットシックスティーン)』。『俺たちの疾走』(朝日ソノラマ刊)を全面的にリメイクした快作だ。

「厚くなるみたい」とは聞いていたけれどここまでとわ。背幅を測ったら4センチもあった。

おれはしょせん余所者だし、どうせ近いうちにこの町から追い出されるんだ。戦車で本州を縦断して、日本海でも拝みに行くつもりだ。(78頁)

「だいいち、あれって、だれにも止められないだろう?」とやけ気味につぶやく16歳のバカ野郎がいとおしい。山本しゅうせい氏の描き下ろしイラストをまとった断然おすすめの一冊です。

512頁一気読み保証