北海道出身、世界69カ国経由、現在は札幌在住のフォトジャーナリストである残間正之さんが、かっこいい写真とともに『葛西善蔵と釣りがしたい』を紹介してくださいました。「藤原新也やボブ・グリーンの著書と同時並行的に読んだ。」だそうで、筆者としてはもう、いたたまれない感じです。
ルアーとフライフィッシングが日本へ入ってきたばかりの時代に、残間さんは数々の大きな編集しごとへ関わってこられています。初めて『フライの雑誌』へかかわっていただいたのは、2008年の第82号特集◎「グリップに注目する」(「友の会」専用ページで全ページ公開中)のグラビア撮影でした。若い時分から残間さんのしごとを拝見していたわたしは、「おう、あの〝残間正之〟が目の前にいるよ」と、びびったことを覚えています。
その残間さんは、編集者としてどうあるべきかみたいなことに触れた「あとがき」における、行司と相撲絡みの一文を引用してくださいました。全篇雑多きわまりない本書にあって、あすこへ反応してくださった方はほかにも高確率でいらっしゃるようです。たしかにあすこは書き手側のちょっとした〝隙〟です。まあしかし全ページ〝隙〟だけで構成されているような本書ではあります。
残間さんが指摘くださった件。行司が素人相撲をとることになった後押しのきっかけは、「精密検査の結果」はあまり関係なかったかもしれません。やはり2011年の地震と津波と原発事故が強烈でした。あれがなければこの本をまとめようとは思っていません。
それに、もう2年も前から告知していて予約もどんどんたまっているのに、フライの雑誌社の近刊『バンブーロッド教書』の発行時期がいまだ決まらないことへの、読者へ申し訳ない気持ちのストレスがあります。
つまり目の前でモンカゲロウがぶちぶちハッチして、マスがばんばんライズしているのに、フライボックスにモンカゲパターンがない。ええい、いっそこの不格好な黄色いバスバグでもぶちこんでやれ!くらいのノリだということです。言うまでもありませんが、この場合もちろん、『葛西善蔵と釣りがしたい』が黄色いバスバグにあたります。
行司がひっくりかえったか、ライズの嵐のなかでバスバグがむなしく浮かぶばかりであったかのご判断は読者にゆだねるばかりです。
それにしても今朝も早くから、壁の中がさわがしい。