おっさん通信 4月号

おっさん通信 3月号からつづく

いつもの釣り場へ行く高速代が今月から1.5倍になった。サカナに逢えなくなる。悪政ゆるすまじ。 ∧( ‘Θ’ )∧

死んでしまうほど動作の遅いMSOffice使いたくなくてLibreOfficeを導入。なんだこれでいいんじゃん。

わが社は2月決算。10期以上も大赤字がつづいている。なんで自分が暮らせているのかが分からない。そんなつまらん決算なんかとてもとてもしたくないのだが、今日から3日間で作業予定。たった3日で終わる決算ってのもどうなのよと、より一層せつなさがつのる。ぜんぶ放り出して釣りに行ってしまえば気が駱駝。

10000㎞離れた基地から衛星回線で無人飛行機を操縦してイラクやアフガンの路地裏を走る乗用車まで赤外線カメラで目視しながらピンポイント攻撃できるのに、公海上を飛んでいたばかでかいマレーシア航空機の行方ひとつわからないものなのだな。よのなかふしぎだ。軍事技術が発展してもふつうの人々の暮らしにはたいして貢献しないじゃん。

馬場さんのタッグパートナーに抜擢されて初めて武道館のメインに出るのに、登場テーマソングのイントロが始まったところでたまらない尿意を覚えトイレへ駆け込んだはいいが、いつまでも放尿がとまらずこのままでは「王者の魂」が終わってしまう、しかし放尿の勢いはますます激しさを増していくばかり、どうするおれ! という極限状態で今朝目覚めたことをいま思い出した。改めて慄然としているところ。夢でよかった。

第101号へ書いた記事の当事者の方がわたしの文章を読んでくれて「うれしかった」と言ってくださった。もうほんとうによかった。よかった。ほんとうに。

決算の数字が合わない。なぜだ。誰かがまた外来魚を放流しているんじゃないか。明日のために今日も寝よう。

今期(2013.3〜2014.2)は『フライの雑誌』第100号記念号と『バンブーロッド教書』の2冊しか出せていないことが分かった。2冊で疲れちゃって、あとは員数外の『葛西善蔵と釣りがしたい』だけ。ちょっと人生考える。

自民党政権になって、川は明らかにひどくなった。美しい国だか日本を取り戻すだか知らないが、こと河川行政に関してとっくにこんな国には絶望しているとはいえ、やはり腹立たしい。あげくに生物多様性国家戦略だあ? 釣れなかったから怒ってるんだからね!

川をこんなにしちゃって、在来魚だろうが外来魚だろうが、暮らせるわけなかろうものを。

生物多様性がとても大事で漁業や釣りよりも優先するべきだと主張する人々は、内水面漁業でもっとも額が大きくて、政治力もある全内漁連がもっとも守りたいアユの種苗放流については、見て見ないふりをする。バスとかニジマスとかのガイライギョに集中する。ただニジマスについては水産庁が相手だから正面衝突を避ける。そういうのをご都合主義という。

〈五年間で約八千七百万円かけて捕獲したのは三万二千八百八十匹で、一匹当たり二千六百円かかった〉 「そんなことに税金使うなら保育園つくって」と近所のママが言っています。パパもそう思います。

富山ゲンゲを入手。魚屋さんがぶつ切りにして味噌汁がいいよと言ったのでその通りにしたが、見た目も食感も超絶不思議な食い物になった。ひと鍋わたし一人でいただく覚悟です。

近所の元気なおじさんに、「おう、読んだよ!『堀内正徳と釣りがしたい』。おもしろかったよ!」と言われた。おじさんちがいます。それはわたしの名前です。

小学生の要望にこたえて一緒に自転車で海を見に行くはめに。つい親子の情に流された。往復100㎞くらいかな。

早朝に出発して、今しがた文字通り這々の体で帰還。長い旅の末にようやくふるさとの川に遡上して、斃死寸前のホッチャレのようなわたしだ。対して小学生はへいちゃら。もう一回ベーリング海行こうか?のノリ。このスティールヘッド野郎め。

パンパンになって熱をもったわたしの両脚が世代交代を実感させる。これでもそこそこのサイクリストだったはずなのじゃが。30年前は。

お国が作ったこんな本を小学生ががっこから持ち帰ってきた。本来言うべきことを言っていないとかはあるけど、電力会社がつくるPR本よりはよほどましな内容。でもねえ。おまいらすまん、と今のオトナは子どもらに言わなくてはならないよ。

今日の夜に新宿を通りがかるので、新宿サンスイさんへがんばって御用伺いの電話をかけた。売切れ本発見、注文ゲット。犬も歩けば頭をなでてもらえる。わーい。

昨日は「進撃の巨人」1巻から13巻までKindleで一気読み三回繰り返して(全巻買ったんだよ)、頭の中に巨人が跳梁ばっこ。生物多様性の観点からは「一匹残らず駆逐してやる!」のが正しいのかどうか。などと悩んでいる暇もなくばっこばっこと巨人が攻めてくる。誰かがゲリラ放流したんじゃないか。

お前らに食わすすしはねぇっ!と予約電話をぶった切りたい。

今期のさんたんたる決算書を作成し終えた税理士さんが、「まあ、今期は3冊しか出せていないので、しかたない数字でしょうか…」と遠慮がちに言った。(『葛西善蔵』入れれば4冊ですよ!)と、わたしは心でさけんだ。

おしゃべり次郎とバードの伝言ゲームで特定秘密ぽろぽろ。

停電を心配してくれたオホーツクの男から、電話がかかってきた。昨夜の停電はこんなんだったよ、と話したら、「ええっ、東京のコンビニは自家発電じゃないんですか! 信じられませーン。東京ほんっとに弱っちいっすねえ!」と電話の向こうで大よろこびされた。セイコーマートつえぇ。

池で魚が泳いでいるのをぼんやり見ているとこのまま社会から引退したくなってくるのだがそれはちょっと。

ダムを作るのがカネの論理ならダムをリムーブするのも利用者の力関係で動く可能性はある。日本でもふつうの選択肢になればいい。

フライフィッシャー誌最新号14ページの「ひろめ市場」の写真において渋谷さんと東さんの間でビール瓶のフタを豪快に歯で抜いているショートカットの美人について今度関係者に取材したいと思います。

もどかしさ、はがゆさ、はらだたしさ、あきらめ、既視感、なんともいえない。次号で水口憲哉先生の意見を聞きたい。

「活字に溺れる者/フライの雑誌社の本を読む 荻原魚雷」
わたしはシーナさんと「本の雑誌」のふるーい読者ですが、うちの本が誌面で紹介されるのは初めてです。しかも魚雷さんの連載で、とはすばらしい光栄です。つづけているといいことあるよねとわたしは泣いています池の畔で。

オボちゃんが誰かに似ていると思っていたら異邦人うたっていたころの久保田早紀さん。どう。

5月連休明けから予定ギッチギチ。は、ありがたいのだけれど6月末の次号発行を考えたらいかにも動きだしが遅い、遅い、遅すぎるよおれ。自ら招いたビハインドにレジスタンスがんばる。

おっさん通信 5月号 につづく
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葛西善蔵と釣りがしたい 堀内正徳=著(『フライの雑誌』編集人)
葛西善蔵と釣りがしたい
堀内正徳=著(『フライの雑誌』編集人)