たいへん申しあげにくいことですが(3)

先週末の山行きについて少しご説明いたします。

徹夜で高速道路を走行して明け方に車止めゲートへ到着。標高差300メートルの直登を含む山道を8キロメートルあるいて崖をザイルで下降し入渓点。ようやく遡行を開始。

落ちたらこの世にサヨナラの大高巻きを乗り越えて源流を遡ること数時間、ほうほうの体でテン場に到着。とりあえず命拾いしたことに、しばし茫然自失。ふと「あ、おれ釣りしにきたんだっけ。」ときづき、釣り師の本能だけでフライロッドをつないだっす。

私を連れて行ってくれた同行のN氏とY氏にとってこの渓は庭だそう。山道はびゅんびゅん歩くわ、岩場はひょいひょい攀じるわ、水際を羽根のようにかるがるとへつるわ、もうたいへん。しかも二人とも背中にバカでかいアタックザックを背負った状態なのだから、信じがたい体力。ためしにザックを担がせてもらったらその場から立ち上がれなかった。私のデイパックは彼らのザックに比べたら幼稚園児の登園かばんみたいなものです。

そんな園児な私を二人はとことん面倒見てくれました。帰り道、N氏はぐったりしている私の荷物を奪うように持ってくれて、「困った時はお互いさま。私が助けてもらう時もあるかもしれないから。」と、さわやかに白い歯を見せましたが、でもたぶん、ぼくがあなたを助けてあげられることはないと思います。

かたやY氏はしぶい岩場の途中で立ち往生している私に、「どうぞ踏んでください。」と自分の靴を差し出してきた。一瞬迷ったけれど、ありがたく私はY氏の靴をギュウッと踏んでスタンスに使わせてもらいましたよ。園児だからね。

で、肝心のイワナといえばこれがなんとさすが・・・。つづきはそのうち『フライの雑誌』に載せると思います。

たいへん申しあげにくいことですが、いやー、たのしかったな!