ちょっとオーバーにいいすぎました。

マニアック系な釣り雑誌の編集者として、わたしにはひとつだけ自慢できる特技がある。一度でいいから一緒に釣り場へ出かけさせてもらえば、相手の釣りの力量はもちろん、釣り師としての素性、どんな人生を過ごしてきたかの人間性まで分かる。たった五分で分かる。情報が光の速度で釣り糸を伝わってくる。

「美人の条件を考える」より(『葛西善蔵と釣りがしたい』所収)

新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』へわたしがなにげなく書いたこの一文に、反応してくれる読者さんの確率が高い。じつはいま、すこし困惑している。

ある方には、「あなたと釣りに行こうと思ったけど、五分でおれの人間性を見抜かれちゃうんでしょ。こわいこわい。」と言われた。

またある方には、「初めて釣りに行った時、あなたはそんな風にぼくのこと見てたんですね。おっかない、おっかない。」と言われた。

このままだとわたしに新しい釣り友だちが増えない。そればかりか、これまでの貴重な釣り友だちをも失いかねない。だから言い訳をしておこうと思う。

上の一文には、レトリック上の誇張が入っています。ちょっとオーバーにいいすぎました。

五分じゃなくて、七分です。

だから安心して、わたしと釣りに行ってください。

釣り友だちとの楽しい交流といえば、『葛西善蔵と釣りがしたい』SBN 978-4-939003-55-4 B6判 184ページ / 本体1,500円+税
釣り友だちとの楽しい交流といえば、『葛西善蔵と釣りがしたい』SBN 978-4-939003-55-4
B6判 184ページ / 本体1,500円+税