ちょっと早い年末のごあいさつ

入魂の竹竿特集の『フライの雑誌』91号をやっとの思いで出して、そのまま続けて単行本新刊『目の前にシカの鼻息』(樋口明雄著)をリリースするという、小社的にはとんでもない過密日程の12月だった。本当は91号と鼻息を同時に出したかったのだが、やめておいてよかった。むりやりやっていたら死んでたかもしれない。

おかげさまで91号の発行と同時に、来年度の定期購読の入金を続々といただいている。本当にありがたい。こんな時代でも定期購読をいただけるのは、小社の経営的にはとてもとてもありがたいことだ。というか定期購読をいただけないと、正直、物理的にやっていけないのです。『目の前にシカの鼻息』の方も、取次さんへ納品した日に追加注文をいただくという鼻息ダッシュを見せてくれた。今年の大藪賞受賞作家、樋口明雄さんの初のエッセイ集ということで注目されているとのことだ。本当にありがたい。

2011年は「フライの雑誌オリジナル・カレンダー」の制作をお休みさせていただいた。長年続いてきたカレンダーの制作を中断させてしまうことを、本欄でも何回かお詫びした。12月上旬には各地の読者さんから、一日に10数本もの「来年のカレンダーはどうなってるのか」の直電話を編集部にいただいて、〝おれまずいことしちゃったのかも〟と頭を抱えた。91号誌面上でも改めて正式にお詫びし、定期購読者の方に同封した「定期購読継続申込みの郵便振替用紙」には、〝2011年のカレンダーの制作はお休みさせていただきます〟と、わざわざ項目を作って重ねてしつこくお詫びした。そうしないと気持ちがおさまらなくて。

そして今週、とある読者さんから届いた「定期購読継続申込みの郵便振替」のメモ欄には、〝2011年のカレンダーの制作はお休みさせていただきます〟の項目に続けて、小さな文字で、〝→困ります〟と、書かれていた。そのいかにも困っているんだろうなと思わせる几帳面な文字を見たとたんに、〝おれやっぱりとんでもないことしちゃったんだな〟と、きゅうっとお腹が痛くなった。

ともあれ、年内の発送業務は30日まで29日まで行います。年明けは1月5日の、あれ、5日は何曜日だったかな、、、と机の横を見たら、やっぱりカレンダーがない。あるはずのものがないのはこんなにも具合が悪いことなのか。カレンダーに続いて『フライの雑誌』もお休みさせていただきます、なんてことがないように、来年もがんばる。

おかげさまで今年の『フライの雑誌』はささやかに好調だった。わずかでも書店売りが伸びているのは、沈みゆく出版界のなかにあって希有なことだろう。あるはずのものをあり続けさせるために、読者の皆さんの応援が支えです。

というわけで継続の方はぜひ来年も、はじめての方もぜひ来年は、『フライの雑誌』の定期購読をお願いします。さいごまでお願いモードの、2010年の年の暮れです。

今年は近しい友人が何人も亡くなって考えさせられた。本を作って皆さんといっしょに楽しめるのも、生きているあいだだけである。来年はまた新しいことを色々と企画している。今年よりももっとエキサイティングな年にしたい。

皆さま、よいお年を。