草森紳一氏が亡くなった。最近どこかの雑誌で見かけた草森氏の連載記事は、最小の級数で、あの読みづらい文体の長文が、スペースぎちぎちに詰め込まれていた。締め切りを過ぎて規定の文字数を無視した原稿が届けばこうなるという見本だった。
氏の遅筆と饒舌は有名で、しかも草森氏の原稿となれば削るわけにもいかない。ほとんど読者に読まれることを拒否しているような誌面を見て、編集者の苦労を思った。自分が関わる作品はできることなら1文字も欠かさず読んでもらいたい、読みやすく届けたいのが編集者の基本的習性だ。さぞつらかったろう。
私は草森氏について語るべきなにも持っていないが、草森氏と植草甚一を絡めて書いた文春「本の話」のこの文章は興味深かった。