どうしよう。

常々、批評には愛が必要だ、相手を斬るなら相手と同じだけの血を流す覚悟がなくては刃物を持つ資格はない、と思っている。

月刊『Fly Fisher』誌さんが6月号で掲載してくれた、小社新刊「イワナをもっと増やしたい!」の書評を読み直した。細部まで読み込んでくださっていることがよく分かる文章だ。

プレスリリースを丸写ししたようなおざなりな紹介が世の中には多い中で、この書評には書き手の視点と意見がしっかり映し出されている。著者の中村智幸さんと編集者がじつは一番強調したかったフレーズを、かっちり書評の中で引用してくれているのが、なによりうれしい。

この書評には愛を感じる。その愛はイワナを愛する者どうしが感じ合うことのできる愛なのだとも思う。どなたが書いてくれた文章なのだろうか。筆者さんのお名前を知りたい。こういう記事にはぜひ署名をしてくれればいいのにと思う。編集部にお電話してお名前をうかがうのは、なんかちょっと恥ずかしい。

昔、事務所でレザー・フェイス選手と一対一にならせてもらう機会があったときに、ああも言おうこうも言おうと思っていたのに固まってしまって、ほとんど喋られなかったことを思い出す。『Fly Fisher』さんの編集部にはすでにお礼状をお送りしているが、それだけじゃ足りない気がする。どうしよう。