まっすぐ素直で心地よい

●昨日は東京都心のど真ん中で、頭のいい人たちが集まる勉強会に参加させていただいた。集まった人々は、わたし以外は50mを6秒くらいで駆け抜ける頭の機能をもった人々だ。スペックが違う。スピーカー役の先生へは、事前に電話して伝えたいことを伝えてあった。先生のことばへあえてわたしが補完することはなかった。だから勉強会のあいだは、先生と皆さんの発言を聞いているだけで、わたしは何もしゃべらなかった。わりと喋りたがりのわたしにはめずらしい。それでもあの場に自分がいたことには実があった。ということを理解できるくらいには、いい感じに自分も歳をとれたということだろう。

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●阿佐田哲也さんが「プロにはそれぞれのセオリーがある。歳をとると自分のセオリーが通用しなくなる」というようなことを、どこかで書いていた気がする(かなりいいかげんな記憶)。力ではかなわなくても、インサイドワークを駆使すれば勝負の舞台には立てる。若い日のジプシー・ジョーは大した技巧はなくとも、相手に頭をつきだしてパイプ椅子で殴らせることで頑丈をアピールした。それがプロとしての彼のセオリーだった。ジョーが歳をとってからも、観客はそれを求めた。ジョーは今度は背中をつき出した。阿佐田哲也も喝采を送るはずだ。

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●原稿依頼した方から、次号104号用の原稿が届いた。人に読んでもらう文章を書くのは初めてなのだという。まっすぐ素直で心地よい文章だ。文は人なり。わたしの人を見る目にくるいはなかった。狙ったライズを見事にとった気分だ。こういう出会いを、なるべく毎号で仕込んでいきたい。次号104号では、新しい書き手何人かに参加していただいている。ハプニングは狙って起こすものだ。たまたまのハプニングと狙ったハプニングは違う。釣りも雑誌もハプニングがあるから楽しい。

裏山あるき
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