フライマンのアクアリスト率は高い。しかも相当に熱い方が多い。私の周囲にはちょっと思い浮かぶだけでも、「120cm水槽でガー飼ってたよ。」という喫茶店主とか、「じつはおれ、熱帯魚屋だったんだ。」とコクるロッドビルダーとか、大きくなりすぎたレッドテールキャットを水族館へ里子に出したオホーツク人とか、枚挙にいとまがない。
何事につけやりすぎちゃうのはフライマンの特性で、しかも『フライの雑誌』関係者となれば、ある程度のマニアックぶりは仕方ないことかもしれない。しかし前も書いたが「飼ってたアロワナが飛び出して死んじゃったんです。だから食べました。」と、ふつうに言われた時は、さすがに少し引いた。ちなみにアロワナのお味は「ウロコが硬くて…。」だったそうだ。正体をばらすと、この人は『海フライの本2』の著者さんです。食うなよ。
さて、ごくありふれたアクアリストの私の家には3本の水槽がある。そのうちのメイン水槽で先日、見慣れない極小の稚魚が、ピンッと動いたのを発見した。体長約5mm。なにこの赤ちゃんは。しかも4匹も。かなりびびったが、どこからか新生物がやってくるわけもないので、冷静になってよく考えてみた。
メイン水槽には、ロイヤルファロエラ1匹とコリドラス2匹、グーラミー1匹、アーリー1匹と、イエローピーコック1匹が入っている(究極の混泳水槽)。この面子だと、どう考えてもアーリーとピーコックの間にできたお子様としか考えられない。交雑するとは聞いていたが、放置プレイ状態の水槽でこんなに簡単に増えちゃうなんて。
マウスブルーダーとはいえ、はじめのうちは親魚に食われてしまわないか心配だった稚魚たちは、現在、個体差はあるが大きいので体長2cmをこえ、自由に遊泳してエサをとっている。もう大丈夫だ。熱帯魚にはまったく関心なさそうな若者に、「ウチの水槽でアーリーとピーコックの子が生まれちゃってさあ。」と言ってみたら、「それってアジとサンマの子どもみたいなもん?」と言われた。すごい。その発想は私にはできない。