イノシシだってそのうち獲れるさ。

 あーもう!当分イノシシ諦めて鹿に専念します。すねた。まぁ悔しいことばかりではない。色々な申請やら手続きやらで、複数の公的機関から職業猟師として認定を受けました。そう腕は別として、プロとして認められたわけで。お客さんの要望に応えるべく鹿を重点的に狙おうというわけです。イノシシ獲れないからじゃないですから!ふん。

 ちなみに鹿毛皮ですがメス2頭分はもう完売しそうな勢いです。お店の在庫が少しだけ確保できるかな・・・。オス鹿はまた毛質が違っていますので、別アイテムとしてご紹介します。そこまで細かく別ける?ええ、毛鉤職人としてのこだわりですから。

 職業としての猟師、毛鉤職人、革なめし、移住前の自分が知ったらどう思うんだろう?考えもしなかった生活、猟銃所持したらまたガラリと変化すると思う。罠を見回り獲物が掛かっていなければ、そのまま山林を俳諧して鹿猟。獲物がとれればなめし作業。人生どう転ぶか分かったもんじゃない。ひとつだけ確かな事は、最も充実した時間が流れてるということ。 (牧浩之)

『フライの雑誌』に〈高原町通信〉を連載中、牧浩之さんの近況はこちら。初めて会った10年前、第63号に寄稿してくれた頃の、まだ釣り好きな少年の面影が残っていた都会っこの牧さんを思い出します。

自分の想いへまじめに向き合ってあれこれやって来て10年。納得のいくフライマテリアルがほしいという思いが嵩じて、今じゃ九州宮崎は高原町で毎日シカを追いかける職業猟師。いい人生です。

イノシシだってそのうち獲れるさ。

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『フライの雑誌』第63号(2003年)
『フライの雑誌』第63号(2003年)