『フライの雑誌』第66号(2004年8月)フィールド通信(「犬を散歩させると懲役?」)で、「国立・国定公園、動植物の持ち込み禁止…来春に法改正」という読売新聞の記事を紹介しました。当時小誌の取材に対し、環境省自然環境局は読売のこの記事を「明らかな誤解、あおり」だと評しました。あれから一年、ぶいぶい度を増している環境省自然環境局が、「自然公園法施行令等の改正」に関するパブコメを募集しています。これは「国立・国定公園のうち、原生自然環境保全地域の全域及び特別保護区域での、動物を放つことを原則として禁止する」規制を新設することを意図したものです。読売の先走り記事が具体化してきたということです。
今回のパブコメを釣り人との関連で平たく言えば、当該地域での、漁協の種苗放流、自主的な源頭放流、キャッチ・アンド・リリースについて、規制の対象となる可能性があります。しかし規制するといったって、じゃあ漁業権に基づく増殖義務で通常行われている種苗放流はどうするのでしょう。それは漁業権を管轄する農水省と環境省との綱引きの問題になってきます(すでに協議は始まっているようです)。
一方、キャッチ・アンド・リリースもたしかに「動物を放つ」行為であるわけで、四角四面に考えると今回の規制対象にあてはまります。キャッチ・アンド・リリースは法律で保証された行為ではないので、役所がダメだと言ったらダメです。つまり、特別保護区域の自然環境を守るための法律改正が、逆に釣り人へ魚を殺すことを強要するわけです。違反者には「最高6ヶ月の懲役か50万円の罰金」が課せられると読売は報じていました。こんな訳が分からない話が、さも正義であるかのような顔をしてまかり通ろうとしています。パブコメは10月7日から11月2日までです。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6430
http://www.env.go.jp/info/iken/h171102a/a-2.pdf